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相続税節税における贈与の考え方

みなさんが相続対策として一番初めに思いつくのは「贈与」ではないでしょうか?贈与は相続対策としてはとても有効な手段でありかつ割と簡単に行うことができます。しかし多くの方は暦年贈与や住宅資金贈与など非課税の範囲内での贈与が多く、相続税率まで考えた贈与を行っている方はそんなに多くないかもしれません。

そこで今回は相続税節税における贈与の考え方についてご紹介致します。
贈与は生前に財産を渡しておくことにより、将来の相続財産を減らし、相続税を減らす効果があります。暦年贈与であれば贈与税を納める必要もなく、申告義務もありません。しかし、相続財産が多額の場合、この暦年課税の贈与だけでは相続財産を多く減らすことはできません。例えば1億円の相続財産を暦年課税(基礎控除は110万円)だけで減らそうと思った場合には単純に90年近くかかります。いくらまでの贈与を行えば損をせず相続税を減らすことができるのか!それにはまず相続税と贈与税の税率を見ていく必要があります。

一般贈与 相続税
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 1,000万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円 3,000万円以下 15% 50万円
400万円以下 20% 25万円 5,000万円以下 20% 200万円
600万円以下 30% 65万円 1億円以下 30% 700万円
1000万円以下 40% 125万円 2億円以下 40% 1,700万円
1500万円以下 45% 175万円 3億円以下 45% 2,700万円
3000万円以下 50% 250万円 6億円以下 50% 4,200万円
3000万円超 55% 400万円 6億円超 55% 7,200万円

上記を見てみると、贈与税の税率の方が、相続税の税率より高いことがわかります。ですので一見同じ金額を贈与した場合には贈与税率の方が高いので損をするかのように思います(仮に1,000万円を贈与した場合 贈与税40% 相続税10%)。しかし、これは違います。ここで比べるのは贈与した財産の税率と相続の課税財産の税率となります。贈与した財産の税率が相続の課税財産の税率より少なければ有効な贈与といえるのです。

例えば相続税の課税財産が3億円の場合には税率は45%となります。そうなると贈与する財産は45%未満の税率の範囲で行えばよいのです(600万円以下)。
仮に今贈与を600万円した場合、贈与税は600万円×30%=180万円となりますが、相続税の減少額は600万円×45%=270万円となり、90万円の相続税の節税が可能となります。ここで大事なのが将来かかるであろう相続税の税率を知っておくということです。相続財産は将来の確定する財産であるため、その財産が確定すのは相続が発生した時です。現在の税率差があるからと言って相続発生時も同じ税率差があるとはかぎりません。ですのである程度予測と対策を検討したうえで贈与の金額を決めることも必要となっていきます。また贈与は相続税の税務調査でも必ず見られるところです。何も考えずに贈与をしてしまうと後で後悔することにもなりかねません。

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横浜青葉事務所 久保田 良次

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