コラム

COLUMN

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. コラム
  4. 遵守しないと法律違反!社員を深夜労働させる際の注意点とは?

遵守しないと法律違反!社員を深夜労働させる際の注意点とは?

従業員を深夜まで働かせる「深夜労働」には、さまざまな制限や賃金に関する決まりが決められています。

深夜に勤務することは、昼間に業務を行うことに比べ、心身ともに大きな負担がかかります。

この記事を参考に、深夜労働に関する決まりをしっかりと把握し、従業員に安心して働いてもらえるように心がけましょう。

深夜労働とは

日本の労働基準法において、深夜労働とは午後10時から午前5時まで(場合によっては午後11時から午前6時まで)働くことをいいます。

深夜労働における賃金は、労働基準法第37条4項、第61条1・2項に基づき、深夜労働手当として通常より2割5分以上の割増賃金を支払わなければいけません。

時間外勤務(残業時間)の割増分が通常の2割5分増しですから、残業が深夜労働の時間にまでさしかかった場合は、これらそれぞれの合計である5割以上の割増賃金で計算することになります。

深夜労働の制限について

従業員に課す深夜労働にはいくつかの規制があり、従事させることに対して制限が設けられていることがあります。

・年少者の深夜労働
満18歳未満の者を深夜に働かせてはいけないとされています。(労働基準法第61条1項より)ただし、交代制の勤務では満16歳以上の男性に限り深夜労働が認められています。

・女性労働者
当然のことながら、女性も深夜労働を行うことができます。

しかし労働基準法において、会社は女性が深夜でも安全に働けるような措置をとる必要があることが記載されています。

通勤においては、公共交通機関が動いている時間を考慮した勤務時間の設定を行います。女性が1人で社内に残ることのないようにすることも、仕事を安全に行う上で重要です。

また会社内でも、セクハラ防止の面から男女別のトイレの設置や仮眠室、休憩室などの設置を行うことが望ましいです。女性が深夜に安心して仕事ができるような体制をとりましょう。

・妊婦の深夜労働
妊娠中の従業員は、深夜労働の拒否権を持っています。そのため妊娠中の従業員に深夜労働をさせてはいけません。

・育児や介護を行う労働者
育児介護休業法により、家族的責任を有する従業員は、深夜労働を免除する請求権があります。

小学校入学前の子どもがいる、または介護を必要とする家族がいる場合は深夜に労働させてはいけません。

しかし従業員に、育児や介護中であっても、深夜労働の免除を請求できないケースがあることも伝えておきましょう。請求できないケースを下記にあげます。

・雇用が1年に満たない場合
・深夜に小学校入学前の子どもを常態として保育できる同居家族がいる場合
・1週間で所定労働日数が2日以下の場合
・所定労働時間が全て深夜の場合

深夜労働の制限は、1回の請求につき6か月間までとし、制限を開始する1か月前までに請求しなければなりません。ただし請求回数に制限はありません。

深夜労働についての制限の請求に関しては、就業規則等に明確に記載し、従業員に周知させることが重要です。

深夜労働に関する誤解

・管理職でも深夜労働は割増される
管理職は時間外労働に対しての賃金は支払われませんが、深夜労働に対する割増賃金は支払うことが義務づけられています。

一般的に多く誤解されている認識として、管理職には労働時間に関する規制がないので、残業代や深夜労働の割増賃金は支払われないと思われがちです。しかし管理職であっても、深夜労働に関しては割増賃金を請求する権利があることを認識しておきましょう。

・固定残業制での深夜労働も割増される
固定残業制を採用している雇用形態であっても、従業員に深夜労働をさせた場合は、割増賃金を支払わなければいけません。固定残業制に含まれるのは、残業代のみです。

管理職の深夜労働に対する割増賃金と同じく、労働基準法を誤解しないように注意しましょう。

・健康診断は半年に1回
労働安全衛生法66条において、会社は従業員に1年に1回健康診断を受けさせなければいけません。これは正規雇用者だけではなく、アルバイトやパートなど非正規雇用者に対しても同じです。

さらに深夜労働に従事する従業員には、半年に1回の健康診断を受けさせなければいけません。

半年に1回健康診断を受けることが義務づけられている業務は「特定業務従事者」とされており、その中には「深夜業を含む業務」も含まれています。

「深夜業を含む業務」は、常に深夜労働をする者以外にも、厚生労働省令の基準として定められている「6か月を平均して1か月当たり4回以上深夜業に従事した者」も該当します。そのため1週間に1回以上、午後10時以降に勤務を行っているのであれば、半年に1回健康診断を受けなければいけません。

シフト勤務や交代勤務に従事している従業員がいる場合は、特定業務従事者に該当していないかを確認しましょう。

まとめ

深夜労働は、昼間に仕事をすることに比べ、身体面に負担がかかりやすく、通勤や安全面でのリスクも高くなります。

会社は、深夜労働でも従業員に安心して勤務してもらえるように、労働基準法を遵守しなければいけません。

単に割増賃金を支払い、制限を守ることだけではなく、大きな負担やリスクを抱えながら会社のために働いてくれる従業員に対し、感謝やねぎらいの言葉をかけることも、使用者や管理者としてあるべき姿ともいえるでしょう。

(画像は写真ACより)

関連記事