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紹介予定派遣とは?メリットやデメリット、正社員登用への実態は?

正社員としての雇用が難しくなっている近年、注目されているのが「紹介予定派遣」です。

紹介予定派遣は、企業と労働者のミスマッチを防ぐことができるなど、たくさんのメリットがあります。

今回は紹介予定派遣とは何か、メリットやデメリット、紹介予定派遣の実態についてご紹介していきます。

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣とは派遣期間終了後に、正社員として雇用されることを前提に派遣として働くことをいいます。

企業は派遣されている期間に、労働者を正社員として雇用するかどうかの見極めをすることができます。また派遣された労働者は、派遣期間に企業が自分に合っているかどうかを判断することもできます。派遣期間終了後に、企業が雇用しなければその時点で契約終了となります。また労働者側が雇用を希望しない場合も、同じく契約終了となります。

紹介予定派遣では、転職先を探す作業を派遣会社が代わりに行ってくれます。そのため、節約できた時間をスキルアップなどに使うことができるので、希望する労働者は多いです。

なお、派遣期間中は派遣会社から給与が支払われ、派遣会社で福利厚生や研修制度を導入している場合、派遣期間中も受けることができます。

また、紹介予定派遣では、全ての直接雇用を正社員に限定する必要はありません。あくまで直接雇用契約を結ぶことを目的としており、契約社員としての雇用契約を結ぶことも可能です。この点に関しては、労働者との間でトラブルが発生することも考えられるので、派遣元の会社にしっかりと確認してもらう必要があります。

普通派遣との違いは

普通の派遣との大きな違いは、派遣期間終了後に企業と直接雇用契約を結ぶことを前提としている点にあります。

普通派遣では、派遣期間は派遣先の企業で労働力を提供しますが、紹介予定派遣で派遣されている期間は、雇用のための試用期間として働きます。

その他、普通派遣と異なる点を以下に挙げていきます。

事前面接
普通派遣では、労働者派遣法第26条第7項に基づき、派遣労働者を特定するために派遣先の企業と労働者が、派遣される前に面接をすることを禁止しています。

しかし紹介予定派遣は、派遣前に企業が労働者の履歴書を確認し、事前面接を行います。これは、企業との直接雇用契約を結ぶため、事前に選考を行う必要があるためです。

派遣期間
普通派遣では、派遣期間は厚生労働省の派遣法により、最大で3年とされています。これに対し、紹介予定派遣は、派遣期間は試用期間であると考えられているため、最長で6か月となります。

なお、紹介予定派遣では、派遣期間終了後に直接雇用契約を結ばずに、派遣社員として就業させることは禁止されています。

派遣期間内の雇用契約
普通派遣では、派遣期間中の労働者は派遣会社に属しているので、企業が労働者と直接雇用契約を行うことはできません。しかし、紹介予定派遣では、直接雇用契約を結ぶことを前提としているので、派遣期間内でも労働者と雇用契約を結ぶことができます。

派遣期間についての相違がないように、派遣会社は紹介予定派遣であることを明記して求人を行う必要があります。

紹介予定派遣のメリット

企業にとって、紹介予定派遣は採用にかかるコストを少なくすることができ、採用後に発生する労使間のミスマッチを防ぐこともできます。事前に履歴書や面接を行い、直接の雇用を前提とした選考を行うことで、正社員雇用へと導きやすいというメリットがあります。

また、派遣会社が間に入り、労働条件の交渉や契約などの手続きをサポート、代行してくれるので、スムーズな雇用契約が行えます。

労働者側のメリットとしては、試用期間に業務内容や社風、職場の雰囲気を把握することが可能です。万が一自分には合わないと感じた際は派遣期間終了と共に契約が終了するだけです。この背景には新入社員のミスマッチによる早期離職が増加したため、このような体制が導入されました。

紹介予定派遣のデメリット

企業にとってのデメリットは、労働者を雇用する場合、派遣会社に手数料を払う必要があることです。

手数料の相場は、企業によって違いますが、雇用した労働者の年収の25%~30%であるようです。企業にとっては大きな出費となるので、通常の正社員雇用で求人を行うか、紹介予定派遣を利用するか、自社にとって相性がよい方がどちらかを考える必要があります。

正社員登用への実態

企業と労働者の双方にメリットがある紹介予定派遣ですが、その実態は、どの程度の割合で正社員登用が実現しているのでしょうか。

厚生労働省が令和2年3月31日に発表した「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、紹介予定派遣により労働者派遣された労働者数は、36,791人でした。そのうち、職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数は、19,214人です。

この結果から、紹介予定派遣で派遣された労働者のうち、約52%が派遣期間後に正社員として雇用されており、決して低くはない数字です。

しかし一部では、紹介予定派遣の正社員登用率は低いという声もあります。その理由として、紹介予定派遣にかかる労働者派遣契約の派遣先からの申し込み人数は、134,483人であるのに対し、労働者派遣された労働者数は36,791人であり、事前選考にて約27%の労働者しか選考を通過していないことがわかります。

さらに申し込み人数のうち、約14%の労働者しか正社員として雇用されていません。このことから、紹介予定派遣では正社員になることが難しいと思われているようです。

紹介予定派遣では直接雇用を前提としており、採用にあたっては企業が慎重に選考を行います。そのため、紹介予定派遣で派遣される労働者が限られるので、申し込み人数に対して正社員登用される割合が低くなると思われます。また、上記の数字には企業が直接雇用をしたいと申し出ても、労働者が断っているケースも含まれます。

まとめ

企業にとって紹介予定派遣は、雇用を結ぶ前に実務体験を行うことができ、また会社のHPや面接ではわからないような職場の雰囲気や通勤にかかる時間なども確認することができます。これは、採用後に起こる労使間でのミスマッチをなくし早期離職を防ぐことができます。

紹介予定派遣では、求職活動を派遣会社がサポートしてくれる派遣社員のメリットと、安定した雇用や賞与や退職金などの給与面の充実を受ける正社員のメリットという、双方の良い点を持ち合わせています。

自社と相性の良い労働者を雇用することで、企業の利益を最大限に向上させることに繋がるでしょう。

(画像は写真ACより)

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