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インボイス登録後の変更手続き

個人事業主が適格請求書発行事業者になった後の諸手続きについて

令和5年10月1日よりインボイス制度が開始します。
適格請求書発行事業者となった場合、適格請求書発行や写しの保存、変更、取消などの日常的業務のみならず、一定の場合には、諸々の手続きが必要となってきます。今回はそれらの手続きについて確認していきたいと思います。

1.適格請求書発行事業者 登録簿の登載事項変更届出書

婚姻や養子縁組等に伴って個人事業主の氏名が変更になった場合、『適格請求書発行事業者 登録簿の登載事項変更届出書』を提出する必要があります。

法人の場合は、名称及び本店又は主たる事務所の所在地が変更になった際に提出義務がありますが、異動届出書を提出している場合にはこの届出書の提出を省略することができるとされています。

個人事業主の場合、そのような省略は許可されていないため、必ず提出する必要があることに注意しなければなりません。

2.適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書

上述の氏名変更があったときに旧姓またはそれまでの通称を変更後の氏名と併記したい、あるいは以前からの名前を使い続けたいという場合には『適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書』の提出が必要となります。

提出すべき事由は以下の通りです。

  1. 旧姓または通称を氏名と併記して公表、または氏名に代えて公表
  2. すでに(併記または単独で)公表している旧姓または通称の変更
  3. 屋号を新たに公表
  4. すでに公表している屋号の変更
  5. 本店または主たる事務所の住所の公表
  6. すでに公表している本店または主たる事務所の住所の変更

3.適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書

事業者は、適格請求書発行事業者への登録を取りやめることもできます。
『適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書』の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に登録の効力が失われることとなっていますので、個人事業者であれば、取りやめたい年の前年に提出する必要があります。

ただし、「翌課税期間の初日から起算して15日前の日」を過ぎて提出した場合は、翌々課税期間の初日に登録の効力が失われることとなっているため、年の終わりぎりぎりに提出した場合は、翌々年からの取りやめとなってしまうので注意が必要です。

4.適格請求書発行事業者の死亡届出書

適格請求書発行事業者が死亡した場合、その相続人が『適格請求書発行事業者の死亡届出書』を提出する必要があります。

これは、いずれかの相続人が事業を承継するかしないかにかかわらず、提出の必要があります。

死亡した事業者の適格請求書発行事業者の登録の効力は、
(1)「適格請求書発行事業者の死亡届出書」が提出された日の翌日
(2)適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過した日
のいずれか早い日に失われます。

ただし、事業が承継される場合には、みなし登録期間が発生します。

適格請求書発行事業者の登録は相続人には引き継がれないため、事業を承継する相続人があらたに適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があります。(相続人が既に登録を受けていた場合を除く)
このため、登録を受けるまでの間、相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置が施される期間をみなし登録期間と言います。

みなし登録期間は、事業を継承した相続人の相続のあった日の翌日から、
(1)相続人が適格請求書発行事業者の登録を受けた日の前日
(2)適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過する日
のいずれか早い日までの期間と定められております。

ただし、相続人がみなし期間中に登録申請書を提出しているにも関わらず登録の通知がないときは、その通知が相続人に到達するまでの期間はみなし登録期間とみなされるという延長措置も認められています。

ここで注意すべきは、みなし登録期間中は相続人が適格請求書発行事業者とみなされているため、適格請求書発行事業者と同様に課税義務も負うことです。

以上、適格請求書発行事業者の登録後においても、個人事業主が気にかけるべき税務上の届出等についてまとめて見てきました。

これまでもあった所得税、消費税の届出に加え、これらの申請、届出が必要となることに留意しておかないと、面倒なことになりかねませんので、参考にしていただければと思います。

渋谷事務所
津田 純一

出典:国税庁 消費税の仕入税額控除制度における 適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂)

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