ナレッジ

KNOWLEDGE

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. 相続・贈与
  4. マンションの相続税評価額が見直されます

マンションの相続税評価額が見直されます

相続税では、財産の価格は「時価」で評価することとされています。
現預金等の金融資産であればその額面金額がそのまま時価となりますが、不動産の場合は「財産評価基本通達」に基づき、路線価や固定資産税評価額を用いて評価するのが一般的です。

この財産評価基本通達を用いた不動産の評価額は実際の市場売買価格よりも低評価になる傾向があり、そのため、金融資産を不動産に替えて相続税評価額を圧縮するという節税策がとられてきました。

また、特にマンションは、敷地部分を全体の戸数で按分するため土地面積が少なくなり、評価額と市場価格の乖離が大きくなるため、節税効果が高いとされてきました。

令和5年6月30日付で国税庁から発表された報道発表資料によりますと、その乖離率は一戸建てが平均1.66倍、マンションが2.34倍(いずれも平成30年)となっており、マンションの優位性を裏付けています。

また、特筆すべきはマンションの乖離率の分布で、乖離率2.5倍以上が42%にのぼっています。さらに、20階建以上のタワーマンションに限って見ると、戸数が増えて、ますます一戸あたりの土地面積が少なくなっていること、高層マンションでは高層階ほど市場価格が高いにも関わらず、相続税評価では階にかかわらず同額で評価されることなどが影響し、市場価格との乖離率は平均で3.04倍、最大で6.93倍にのぼるという調査結果もあります。

このような状況を受け、令和5年度の与党税制改正大綱ではマンションの相続税評価の見直しが言及され、現在までに3回の有識者会議が開催されました。

その後、この会議で提示された見直し案に基づいた通達改正案が国税庁から発表されており、意見公募手続き等を経て、令和6年1月1日以後の相続等・贈与に適用される見込みです。

さて、では現在の公表されている改正案はどのようなものでしょうか。

報道発表資料では、相続税評価額が市場価格と乖離する主な要因は「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分狭小度」の4つであるとして、この4つの指数に基づいて評価額を補正する旨が示されています。

具体的には、4指数に基づいた評価乖離率を算出して、評価額が市場価格理論値の60%に満たない場合のみ、60%に達するまで相続税評価額を補正します。

60%とは、一戸建ての平均乖離率の1.66倍を考慮したもので、乖離率が1.67倍を超えるものについて1.66倍まで評価額を補正するよう求めたものです。

また、今回の改正は「マンション一室」が対象とされており、一棟保有の場合は適用されない見込みです。そのほか、いわゆる二世帯住宅等に係る各部分は含まないことや、補正した価額が通常の取引価格を上回ると認められる場合には不動産鑑定評価額等により評価することが記載されています。

<見直し案の概要>
1,評価方法
現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率×最低評価水準0.6
   (=重回帰式による理論的な市場価格)

*評価乖離率が0.6分の1以下(約1.67以下)の場合は現行の相続税評価額×1.0
*評価乖離率が1.0未満の場合は現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率

2,評価乖離率の計算
(1)×△0.033+(2)×0.239+(3)×0.018+(4)×△1.195+3.220
  (1):マンション一室に係る建物の築年数
  (2):マンション一室に係る建物の「総階数指数」として、「総階数÷33(1.0を超える場合は1.0)」
  (3):マンション一室の所在階
  (4):マンション一室の「敷地持分狭小度」として、「マンション一室に係る敷地利用権の面積÷マンション一室に係る専有面積」により計算した値

3,適用時期
令和6年1月1日以後の相続等又は贈与

先ほどの報道発表資料によりますと、乖離率が1.67倍を超えるマンションは、全体の75%以上にのぼります。4分の3以上の区分所有マンションで評価増となる可能性があるということです。

マンションをお持ちの方は、改正案が固まった時点で相続税評価額の再計算をし、場合によっては相続対策全体を見直されることをお薦めいたします。

高田馬場事務所
篠木市子

<参考・出典等>
 国税庁HP 報道発表資料「マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)
 週刊税務通信 令和5年7月10日号,NO.3760,P6-7

関連記事