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相続時に便利な申告書等閲覧サービスについて

「過去に提出した申告書の控えが見つからない」「被相続人が過去に提出した申告書の控えが見当たらない」など、あるはずと思っていた申告書控えが見つからないと焦りますよね。今回は、そのような場面で利用可能な「申告書等閲覧サービス」の内容についてご紹介いたします。

■申告書等閲覧サービスとは?

申告書等閲覧サービスとは、納税者が適正な申告等を行うために、税務署へ過去に提出した申告書等を閲覧できるサービスです。これまで提出した申告書の控えを失くしてしまったが内容をたしかめたいというときに、このサービスを使用して過去の申告書が閲覧できるようになりました。申請手数料は無料で、納税者又は委任を受けた税理士等の代理人が、所轄税務署の窓口で閲覧申請書(代理人を場合には委任状も必要)を提出し、本人確認を受けることで閲覧ができるサービスです。 

■閲覧時のルールは?

申告書等閲覧サービスは、「閲覧(みる)」のみで「写し(コピー)」をとることができません。収受日付印等を被覆した上で、カメラやスマートフォンなどで写真撮影はできますが、動画撮影はできません。

■申告書等の写しが必要な場合には?

 閲覧だけでなく、申告書等の写しが必要な場合には、保有個人情報の開示請求を行うことになります。請求にあたっては、開示請求書を所轄税務署に直接又は郵送で提出するか、e‐Taxからオンライン申請をすること可能です。なお、開示請求をする場合には、所定の開示請求手数料の納付が必要となります。

■閲覧の対象文書とは?

申告書等閲覧サービスで、閲覧できる申告書等は、以下の通りとされております。
1 所得税及び復興特別所得税申告書
2 法人税及び地方法人税申告書、復興特別法人税申告書
3 消費税及び地方消費税申告書
4 相続税申告書
5 贈与税申告書
6 酒税納税申告書
7 間接諸税に係る申告書
8 各種の申請書、請求書、届出書及び報告書等
9 納税者が上記の申告書等に添付して提出した書類(青色申告決算書や収支内訳書など申告書等とともに保存している書類を含み、所得税及び復興特別所得税申告書に係る医療費の領収書など申告書等閲覧サービスの対象としてなじまない書類を除く。)

■相続税申告に必要な情報収集の方法は?

申告書等閲覧サービスや同開示請求は、申告書等を提出した本人のみが対象となります。相続税の申告においては、他の共同相続人が受けた贈与内容の確認が必要な場合があるため、他の共同相続人からの開示請求が可能となる特例が設けられております。
請求の際には、開示請求書に遺産分割協議書等の写し等の必要書類を添付して、被相続人の死亡時の住所地等の所轄税務署に提出することになります。
 令和5年度の税制改正では、暦年課税における相続前贈与の加算期間の延長(3年→7年)、相続時精算課税での110万円基礎控除の導入等の見直しに伴い、開示請求できる事項について、下記の表のとおり見直しが行われました。

「申告書の控えを失くしてしまった」「被相続人が提出した申告書等をみたい」などの場面になっても、所定の手続きをとれば申告書を閲覧でき、手書きのメモにくわえて画像ファイルを保管できるのは、納税者や代行者、相続人に歩み寄りのあるサービスに進化したといえます。申告書等の控えが見当たらないなどお困りのときには、申告書等閲覧サービスの活用してみてはいかがでしょうか。

出典:国税庁HP 申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)|国税庁 (nta.go.jp)  税務通信No.3764

渋谷事務所
田宮 健太朗

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