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日本特有の年功序列とは?仕組みとメリットデメリットを解説

年功序列とは

年功序列とは世界の中でも日本独自の仕組みで、会社内で賃金や役職を決める際に年齢や勤続年数を重要視して決定する慣習や人事制度のことです。

勤続年数や年齢が上がれば、それに伴ってスキルや経験、ノウハウが蓄積されます。

結果、会社に貢献できる力が大きくなるため、それに応じて会社内における職務上の重要度が高まるといった前提に基づいて年功序列の制度はつくられています。

年功序列のメリット

①帰属意識が高まる
年功序列は、同一企業に長く勤めれば、年数に従って給与が自然に上がっていきます。

そのため、所属している企業に対して多少の不満があったとしても収入が安定していることから離職を選択する可能性が低くなります。

また、長期間同じ職場で働くことで、企業への忠誠心や帰属意識が高まり、社員同士の連帯感が強化される傾向にあります。

連帯感や信頼感が強化されることで、会社の団結感が増し、会社の成長や業績の向上にもつながるというメリットがあるのです。

②育成システムが確立しやすい
年功序列の制度が導入されている会社では、その会社で経験を多く積んだ社員が多く在籍しています。

そのため、新しい社員の育成を担える人材が豊富で、スムーズかつ計画的に人材育成ができます。

③人事評価がしやすい
年功序列は年齢や勤続年数によって賃金や役職が決まるので、人事評価基準がわかりやすいというメリットがあります。

成果主義であれば、その社員の前年度の仕事の功績などさまざまな観点を考慮して、人事評価を決めなければならず複雑です。

年功序列はそういった複雑さはないうえに、勤続年数が長い社員であれば社員の傾向や適性を把握でき、適材適所の人材配置ができるというメリットもあります。

年功序列のデメリット

①社員の生産性を向上させるのが難しい
年功序列は勤続年数や年齢によって賃金や役職が上がるため、その内容に成果や評価は連動しません。

つまり、努力すればするだけ賃金や役職が上がるわけではないので、求められている以上の成果を出すという前向きな姿勢が生まれづらい環境であると言えます。

そのため、社員の生産性の向上が低下すれば、必然的に企業全体の生産性も低下してしまう可能性が高くなってしまいます。

②社員の高齢化や増加に伴い人件費が高くなる
年功序列は年齢や勤続年数によって賃金の上昇を約束しています。そのため、社員一人ひとりの賃金は年々上昇していきます。

つまり、社員の定着率が高ければ、経験を積んだベテラン層が厚くなり、人件費が層の厚さ分だけ高くなっていくと考えられるでしょう。

社員数が変わらなくても、社員の勤続年数が上がれば、賃金は上昇していき、業績拡大のために新入社員を雇う場合は、その社員の賃金も上昇します。

そのため、年功序列の仕組みを会社に導入している場合は、将来的に人件費を払い続けられるかをしっかり検討する必要があります。

③労働意欲や目的意識の高い若手社員が離職しやすい環境である
上記の①でも述べたように、年功序列は大きな成果をあげても評価がされにくく、賃金に反映する可能性は低いです。

そのため、労働意欲の減退につながり、目的意識の強い若手社員ほど、この仕組みに不公平さを感じます。

目的意識や労働意欲が高い人材ほど会社にとって有益な人材はいません。

しかし、成果を賃金や役職に反映できないため、正当な評価を得られないという理由で、若手社員が離職してしまう可能性を高くしてしまう環境であるのがデメリットとしてあげられます。

年功序列が崩壊しつつある理由

1990年代のバブル崩壊以降、減少し続けている年功序列の仕組み。

それは、バブル崩壊により経済が停滞したため、業績が右肩上がりに成長し続ける見通しが立たなくなり、企業が社員を定年まで雇用し続ける終身雇用を維持するのが難しくなったからです。

また、少子高齢化によって労働人口が減少しはじめていることも年功序列の仕組みがなくなっている要因の1つにあげられます。

企業は労働人口が減っているなか、優秀な人材を確保するためにより良い条件と環境を提供するようになりました。

これにより目的意識の高い人材が自分の努力の結果が反映される条件と環境がそろった企業に流れる人材の流動化が進み、同一企業で働き続ける人が減少しました。

また、労働人口の減少に伴い、新卒の一括採用だけでは労働力を確保するのが難しくなったため企業は外国からの人材確保、経験者、シニアなど幅広い属性から人材を集めるようになりました。

結果、年功という軸で仕事を評価するのは難しくなり、日本のグローバル化もあいまって、年功序列の代わりに欧米の成果主義が導入されるようになってきたのが原因です。

まとめ

さまざまな原因が重なって減少している年功序列制度。

今では、ノルマが要求される営業職の業界や海外企業などの業界では年功序列制度ではなく、成果主義の仕組みが多く採用されています。

1990年代では企業の8割近く導入されていた年功序列制度ですが、成果主義の参入により2018年には5割弱の割合まで低下しています。

世界経済の急速な変化に対応していくためには、柔軟に新たな人事制度を取り入れていくことも必要なのかもしれません。

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