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制服やスーツを福利厚生費として計上できる?できない?その規定は?

仕事をするときに、制服を支給又は貸与してもらうことがあると思います。仕事で制服やスーツを着用しなければいけない場合、全てが福利厚生費として計上できるのでしょうか?とりわけスーツは仕事以外のプライベートでも着用する機会がありますが、福利厚生費として計上できるのでしょうか?

今回の記事では、そんな疑問にお答えします。

福利厚生費として計上できる規定は?

福利厚生とは、会社が従業員に提供する報酬やサービスにかかる費用であり、給与以外のものをいいます。福利厚生として計上できる規定は、以下の3つです。

全ての従業員が平等に利用できること

社会通念上で一般的な福利厚生に対する常識の範囲を超えないこと

支給が現金ではないこと

例えば男性は自前のスーツを着用し、女性は会社で決めた事務服を着用するという会社があるとします。このケースだと、全ての従業員が平等に制度を利用できないという理由で女性の事務服を福利厚生費として計上することはできません。

従業員の制服が福利厚生費となる規定は?

国税庁では、制服等の支給について以下のように取り扱っています。

「職務の性質上制服を着用しなければならない人に対して支給又は貸与する制服その他の身の回り品、事務服、作業服等については、課税されない」(所法9①六、所令21二、三、基通9-8))国税庁ホームページ「給与所得の範囲」より引用

これは仕事で着用が決められ、支給された制服は、現物給与ではないので所得税がかからないということです。所得税がかからない(=非課税)制服を福利厚生費として計上するためには規定を満たさなければなりません。

・勤務する場所で仕事を行う際にのみ着用すること

・制服の支給や貸与が、職場全員を対象とすること

・社名や会社のロゴマークなどが入っており、一目見て従業員だと判別できること

最近の制服やユニフォームはスタイリッシュなデザインのものが多く、それゆえこれを通勤時に着用することがあると勤務地以外でも使用しているという扱いになり、福利厚生費として計上することはできません。

スーツは福利厚生費になる?

通勤時や普段の服装としても着用することのできるスーツは、勤務地以外でも使用するため福利厚生費として計上することはできません。仮にプライベートでは着用しないと申告したとしても、私服との区別がつきにくいので計上することは難しいでしょう。

また営業職などで、営業部全員に同一のスーツを支給又は貸与する場合でも、私服として着用できる可能性があるため福利厚生費としての扱いはできないと考えられます。

ただし、仕事以外で着用できないほど派手で個性的なデザインであったり、会社のロゴマークが目立つように入っているスーツであれば、福利厚生費として計上できると考えられます。

従業員がどうしてもスーツの費用を出せない事情がある場合は「現物給与」としての扱いになり所得税の課税対象になることは事前に伝えましょう。

制服を福利厚生費とするなら注意したいこと

帽子や靴などの小物も対象になる

福利厚生費として計上できる制服の中には、社名や会社のロゴマーク入りの帽子や靴、ネクタイなども含まれます。これらについても、通勤時やプライベートで着用・使用してはいけないことを周知徹底しましょう。

まとめ

今回は、従業員の制服やスーツに対して、どこまでを福利厚生費として計上できるのかについてご紹介しました。従業員にとって、福利厚生の一環として制服が支給されることは、自分で衣服を準備する手間や費用もかからず、課税対象にもならないので、とても嬉しい制度です。

しかし会社側は福利厚生費として計上するために、制服支給の際に制服の取り扱い方を周知徹底する必要があります。この記事を参考に、制服の取り扱い方や福利厚生費として計上できる規定を、改めて確認してみてください。

(画像は写真ACより)

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