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従業員のメンタルヘルスケアはできていますか?3つの予防と4つの対策をご紹介

メンタルヘルスとは「心の健康」のことをさします。

昨今の不安定な社会情勢から、メンタルヘルス不調を訴える人は少なくありません。

今回はメンタルヘルス不調について、その要因や兆候、対策などをご紹介していきます。

メンタルヘルス不調が起こる要因や兆候は?

厚生労働省はメンタルヘルス不調について、次のように定義しています。

精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう

厚生労働省 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」より引用

メンタルヘルス不調が起こる要因として、厚生労働省が発表した「精神障害に関する事案の労災補償状況」のうち、令和元年度の「 精神障害の出来事別決定及び支給決定件数一覧」では、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が79件と最多でした。次いで、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」「「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」となっています。

メンタルヘルス不調が起こる要因の多くは、労働者本人の努力では改善できないこともあり、企業が職場環境を改善したり、外部のサポートを受けたりして、メンタルヘルス不調に対する対策促進を行うことを求められています。

メンタルヘルス不調の兆候として「気分が落ち込みやすい」「食欲不振」「睡眠障害」などが挙げられます。また一方で、職場でこれまでにないぐらいの気分が高揚している社員にも注意を払いましょう。活動的な精神状態と無気力状態を繰り返すことも、メンタルヘルス不調の1つです。

いずれも、これまでと様子が違うといった状態を、早期に発見できるように心がけることが重要です。

メンタルヘルス不調による影響

・生産性の低下
メンタルヘルス不調になると、意欲低下や集中力の低下につながり、生産性が下がります。メンタルヘルス不調を起こす労働者が多くなれば、組織全体の業績悪化を招く事態にもなりかねません。

・離職率が上がる
メンタルヘルス不調による離職が増えれば、企業の離職率が上がります。離職率が高い企業は世間に「ブラック企業」としてのイメージを与えてしまいがちです。

離職率が高い企業=ブラック企業と認定されてしまうと、新たな人員を採用しにくくなり、人手不足を招きます。さらに人手不足による1人1人の仕事量の圧迫が、新たなメンタルヘルス不調を招くという、負の連鎖に陥りかねません。

メンタルヘルス不調の3つの予防策

厚生労働省は近年増加するメンタルヘルス不調に対して「3つの予防策」を掲げています。

1次予防=積極的な健康促進
心の健康は何かを積極的に知ることで、正しい知識やストレスへの対処法など、メンタルヘルスを未然に防ぐ対策を実施します。

2次予防=早期発見・対処
仕事に追われる職場では、メンタルヘルス不調に陥ったことを本人が気づいていないケースもあります。そこで、上司を含め同じ職場にいる人が、メンタルヘルス不調の労働者を早期に発見し、対処することで、重症化を未然に防げるようにします。

場合によっては、企業からの支援を受けた社外の事業者が、ストレス診断やカウンセリング、復職支援などメンタルヘルスに関する支援を行う「従業員支援プログラム(=EAP)」を活用することもあります。

3次予防=復帰支援・再発防止
メンタルヘルス不調で休職した人の職場復帰をサポートできるような対策を行います。

また二度とメンタルヘルス不調で悩む人が発生しないように、人事や労務環境の再考、時には産業医との連携を行います。

厚生労働省は、働く人のメンタルヘルスポータルサイトとして「こころの耳」というサイトを解説しています。「こころの耳」では、メンタルヘルスについて悩む事業主や労働者、家族に向け、様々な事例を紹介しています。メンタルヘルスの専門家が、事例と共に疑問や悩みに回答しており、参考にできる内容になっています。

メンタルヘルス対策でとるべき4つのケア

セルフケア
メンタルヘルス不調にならないために、労働者本人がメンタルヘルスやストレスについて理解しておく必要があることを周知しましょう。そのため、相談体制を整え、ストレスチェックも実施します。労働安全衛生法第66条の10に基づき、ストレスチェックを行うことは企業の義務であるとされています。

管理監督者によるケア
管理監督者は部下のメンタルヘルスを日々観察し、ストレスを感じる要因を把握し、改善できる体制を整える必要があります。そのため、管理監督者は部下の健康管理を行い、職場環境でストレスの原因となっているものを把握し、改善する「ラインによるケア」を行います。そのため、管理監督者はラインによるケアを行うための教育や情報提供を受けます。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア
セルフケアやラインによるケアがしっかりと実施されるよう、サポートします。心の健康に対する計画を立て、事業場外ネットワークとのやり取りの連携を行う窓口となります。

事業場外資源によるケア
メンタルヘルスに関して、専門的な知識を持つ外部サービス支援を受けることも対策の1つです。外部サービスを利用することで、事業場内では相談しにくいことも相談でき、専門的なケアを行うことができます。

まとめ

企業が利益を出して成長できるということは、そこで働く従業員1人1人が、健やかで気持ちよく働くことができる環境があって、初めて成り立つものです。

企業にとって宝ともいえる従業員が、メンタルヘルス不調に陥らないように、事前に予防策を講じることが重要です。また万が一メンタルヘルス不調に陥ってしまった場合、適切なケアを行い、気持ちよく職場復帰できるようなサポート体制を整えましょう。

(写真はPixabayより)

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