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若年求職者を試用期間で見極める「若年者トライアル雇用制度」についてご紹介

人材不足に悩む多くの企業では、より良い人材確保のために、求人活動を行っています。

企業が人材を求める一方、経験やスキル不足のため行動に踏み切れず、就職活動に難渋している求職者は少なくありません。そして今は、若者でさえ希望通りに就業できず、将来に不安を感じている状況です。企業は、人材とのこのようなすれ違いを認識しつつも、経験やスキルのない若者の採用には慎重にならざるを得ません。

そこでぜひ利用したいものに「トライアル雇用制度」があります。さらにトライアル雇用制度の中には、対象者を35歳未満の若者に限定した「若年者トライアル雇用制度」という制度があります。

今回はこの「若年者トライアル雇用制度」についてご紹介いたします。

まず「トライアル雇用制度」とは何か

「トライアル雇用制度」とは、求職者に対し試用期間を定めた上で雇用を行い、適正かどうかを見極めたのちに、求職者と事業主双方の同意があれば採用する制度をいいます。

試用期間は原則として3か月としており、ハローワークの紹介であれば、事業主はその人材を雇用した日から、最長3か月にわたり助成金を受けることができます。受給できる金額は、対象者1人につき最大4万円を上限としています。

トライアル雇用助成金の目的は、経験や知識、スキルなどの不足により就職先が見つけられず困っている求職者に対し、早期就職の機会を与えるものです。また事業主にとっても、正規に雇用する前に、求職者のスキルや適正能力を見極めることができます。

よく似たものに「試用期間」がありますが、こちらは労使間でミスマッチが発生し試用期間で解雇しなければならないとき、その理由を明確に示す必要があります。しかし、トライアル雇用制度は労使間でミスマッチが発生しても、あらかじめ3か月という期間を定めているため、契約満了でそのまま終了することができるのです。

トライアル雇用制度は、求職者と事業主の双方にとって大きなメリットがあると、導入している企業も多いようです。

若年者トライアル雇用制度とは?

一方「若年者トライアル雇用制度」は35歳未満の若者を対象にしたトライアル雇用制度です。

こちらも試用期間は3か月となります。トライアル雇用制度との違いは、若年者トライアル雇用制度を導入した事業主には「若年者安定雇用促進奨励金」として、対象者1名につき1か月あたり5万円が支給されるという点です。

さらに、若年者トライアル雇用制度を導入した事業主のうち、若者の雇用や育成に積極的であり厚生労働大臣から優良な中小企業だと判断された場合は「ユースエール認定企業」と認定されます。

この若年者トライアル雇用制度は、「若年雇用促進法」に基づいています。

平成27年10月1日より順次施行されたこの法律の背景には、若者に対して適切な職業を選択することをサポートし、スムーズな採用実現に向けた取り組みを行う目的があります。

若年者トライアル雇用制度導入のメリット

若年者トライアル雇用制度を導入し、事業主が「ユースエール認定企業」に認定されると多くのメリットがあります。

企業のイメージアップ
若者を対象としたハローワーク支援拠点において、若者の雇用に積極的な企業だとPRされるので、若者からの応募が増えます。また、ハローワークが主催する就職説明会などでも、ユースエール認定企業を積極的にPRしてもらうことができます。

未来ある若者を採用できることは、優秀な人材を確保できるだけではなく、人材育成にかける時間にも余裕ができ、長期的に安定した労働力を確保できます。

助成金の加算
トライアル雇用助成金に加えて、「キャリアアップ助成金」「 人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)」が一定額支給されます。

キャリアアップ助成金は、非正規労働者のキャリアアップを促進する企業に対して、助成金がおりるものです。また、人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)は、従業員のキャリアアップ形成をサポートすることを目的としており、スキルアップや技能習得のための職業訓練などを、従業員に受講させる事業主に対して、助成金が支払われます。

トライアル雇用制度の対象者が変更に

厚生労働省は、平成31年4月1日より、トライアル雇用制度の対象者を変更しました。

対象者に追加されたのは「ニートやフリーター等で45歳未満の人」「生活困窮者」です。また変更に伴い対象者の項目のうち「就労経験のない職業に就くことを希望する人」「学校卒業後3年以内で、卒業後、安定した職業に就いていない人」を廃止しました。

さらに令和2年2月14日より、追加された対象者の「ニートやフリーター等で45歳未満の人」の年齢の上限を「紹介日時点で、ニートやフリーター等で55歳未満の人」と拡充しています。

まとめ

若年者トライアル雇用制度は、試用期間で仮に採用に至らなかったとしても、契約終了とされるだけで、解雇ということにはなりません。

その企業で働くことに前向きであったにもかかわらず採用に至らなければ、求職者は少なからず残念に思うでしょう。たった3か月であったとしても、未来ある若者の努力を認め、採用に至らなかった理由を誠意を持って明確に提示することが、若年者トライアル雇用制度を導入している事業主のあるべき姿だと思われます。

若年者トライアル雇用制度は求職者と事業主の双方にメリットがあります。導入を考えている担当者はハローワークに問い合わせてみましょう。

(画像は写真ACより)

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