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終身雇用制度とは?その歴史や崩壊したと言われる現状を解説!

2019年4月、経団連会長の中西氏が「終身雇用を前提に企業経営、事業活動を考えるのは限界」と言及、また同年5月にはトヨタ自動車社長の豊田氏も、同じく終身雇用の崩壊を示唆する発言を行いました。

今回は終身雇用制度について、メリット・デメリットやいつから始まった制度なのか、崩壊の背景や現状などもあわせてご紹介します。

終身雇用とは

終身雇用とは、採用した人材を定年まで同一企業で雇用し続ける雇用制度のことをいいます。

勤務年数や年齢を重ねるにつれ給与や役職が上がる「年功序列型」同様、長らく日本の雇用として採用されてきた制度です。

終身雇用制度のメリット・デメリット

・メリット
終身雇用制度を採用している企業の社員は、定年まで安定した給与と雇用を得られるというメリットがあります。企業側のメリットとしては、人手不足に陥らず長期的な人材育成ができることです。

・デメリット
社員のデメリットとして挙げられることが、向上心を持たず努力を怠りがちになることです。成果主義と違って、成果を上げられなかったとしても減給されず、勤務年数が長くなるほど安定して給与が上がっていくので、意欲やモチベーションが下がってしまう人もいます。

企業側のデメリットは、社員の成果やパフォーマンスに関わらず、年齢や勤務年数が長い人に対しての人件費が高くなってしまう点です。

終身雇用制度の歴史

終身雇用制度の原型は、第二次世界大戦前までさかのぼります。

戦前・戦中の工場で働く労働者たちは、熟練すると、より給与の高い場所を求めて転職していきました。人手不足に陥った大企業は対策として、勤務年数に応じた昇給や退職金、福利厚生などを手厚くするという雇用制度を設けました。しかし第二次世界大戦が激しくなり、労働者不足により、これらの雇用制度は一旦衰退します。

終戦後から高度経済成長期に突入し、日本の企業はさらに深刻な労働者不足に陥ります。安定した雇用と補償を求める労働者たちが労働運動を起こす中、大企業は労働者たちの信頼を取り戻すべく、定年までの長期雇用を保障するという終身雇用制度を設けました。

この制度が今日まで、長らく日本の経済を支えてきましたが、近年終身雇用制度は崩壊しつつあります。

終身雇用制度の崩壊

近年崩壊しつつある終身雇用制度ですが、崩壊の背景について挙げていきます。

・労働者の意識の変化
2019年、総合転職エージェントのワークポートは、全国の転職希望者405人を対象に「終身雇用制度は必要と思うか」というアンケートを行いました。

その結果、54.3%が「いいえ」と答えました。終身雇用制度が必要ではないと答えた人の意見として「能力よりも年功序列の評価になりデメリットが大きい」「副業や転職、キャリアの方向性を自分で自由に変えられる仕組みの方が現代的」といったものがありました。

このように終身雇用にメリットを感じない労働者が増え、自身のキャリアアップや社会情勢に合わせた働き方への意識が高まったことが、終身雇用制度崩壊の背景にあると思われます。

・ITの進化
終身雇用制度でデメリットとなっている人件費を削減するために、企業はIT化を進めています。

これまで人の手で行っていた作業はデジタル化され、ロボットやAIが代わりに作業することで、人件費を削減することが可能な時代になりました。またデジタル化が進み、長期的な労働に対する評価ではなく「効率の良さ」や「生産性」に対する評価が重視されるようになってきました。

長期的な人材育成を行う終身雇用制度を採用する会社は、多くのタスクをデジタル化できる昨今では、高い利益を生み出すことが難しいと考えられています。

・人件費削減のため早期退職者の募集
近年、早期退職者や希望退職者を募集する企業が増えつつあることも、終身雇用制度の崩壊を招いている要因の1つです。

早期退職の対象となっているのは、おもに終身雇用制度を意識して採用された50代です。また、50代は最も人件費がかかる世代でもあります。

企業は人件費を削減し、安定した企業経営と生産性の高い労働力確保のために、終身雇用制度や年功序列型に対する意識を変えざるを得ない状況です。

まとめ

終身雇用制度が崩壊しつつある昨今では「大企業に1度就職してしまえば、一生安泰で暮らせる」という保守的な意識はもはや通用しないのかもしれません。

今後の日本企業では、自らが作りだし、その問題点や改善点を探り、解決することで結果を残せるという「起承転結型」の人材が求められる時代に変化しつつあります。

生活様式が目まぐるしく変わっている今、働き方に対する意識にも柔軟性を持たせ、世の中の流れに対応させるスキルが必要なのかもしれません。

(画像はPixabayより)

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