令和3年分確定申告　振り返り

令和3年分の確定申告が3月15日で期限を迎えました。私どもコンパッソ税理士法人で対応した確定申告の内容から振り返りをしたいと思います。

今回の確定申告ではe-Taxにおいて、ログインが出来ない・送信が出来ない・送信に時間がかかる・国税庁からの通知が届かないなどのトラブルが発生しました。
その原因として、国税庁では「本年度の申告では、多くの方にｅ－Ｔａｘを利用していただいたこともあり、申告データを国税庁のデータベースサーバに格納する際の処理や取り出す際の処理に極めて大きな負荷がかかり、処理パフォーマンスの低下が発生したことが上記事象の原因である（以後省略）」（国税庁HP https://www.nta.go.jp/index.htm ）としています。

昨年のデータですが、e-Taxの利用者は令和元年と比べて1.7倍に増加しています。長引く新型ウイルスへの警戒が人々のWEB利用を高めている背景もあって、今年はさらにe-Taxを利用した人が増加したのではないでしょうか。

コンパッソでもこの障害の影響で送信に大幅に時間がかかり、国税庁からの通知もなかなか受信できない状況となりました。

国税庁では、今回の障害の解決策をできるだけ早く実施していくとしています。

令和3年分の確定申告はどういった特徴があったのか、コンパッソ税理士法人代表社員の若林と、数名の職員にヒアリング致しました。

〇コロナの特例利用者は少数
—（若林）令和2年分の確定申告に続き、2年連続で申告期限の延長が出されました。しかし、通知されたのが2月3日とかなり直前であったこともあり、多くの納税者は通常の申告期限に間に合わせるべく動いていたと思います。
コンパッソでもこの延長申請を利用しているお客様は全体の数％に留まっています。

〇注意したポイント
—（若林）基本的な部分は特に注意してチェックしています。例えば、役員として勤務した期間が5年以下の方の退職金にかかる税額計算などです。また、ふるさと納税の
返礼品の申告については、課税とならない場合でもあえて申告することも行っています。これは、もし今後税務調査が入った場合でも余計な疑義を持たれないためでもあります。
配当の申告では、総合課税にすべきか申告分離課税にすべきかシステムを使い、シミュレーションした上で判断します。こうした選択も正しいかどうかしっかりチェックしています。

—（スタッフB）財産債務調書の提出が必要か否かは特に気を使ってチェックしました。私どもで分かる範囲は限られていますので、クライアントへの説明は十分行う必要があります。税務調査となった場合に、この調書の提出如何は大きな問題になります。

〇令和3年分の確定申告から変更となっている部分
—（スタッフA）令和2年の税制改正で、国外中古建物の減価償却費相当額を全額経費に計上できなくなりました。これにより、令和3年の納税額が大幅に大きくなっている例が見られました。

〇令和3年分の確定申告を終えて
—（若林）確定申告のご依頼は例年とほぼ同じ件数だったにも関わらず、例年よりもスムーズに進みました。それは、一昨年から進めてきた業務のデジタル化が社内にかなり浸透してきた成果だと思います。これまで、紙での申告書のチェックもデジタルで行えるようにしました。これにより、テレワークが進み、各職員が働きやすい環境で業務を推進することが出来るようになったと思います。

—（スタッフB）今後は特に富裕層に関わる様々な変更が予想されます。現在所得制限がついている財産債務調書の提出義務は、所得に関わらず10億円以上の資産を有している人に拡大されるため、所得がなくても調書の提出が必要になるケースが出ます。また、暦年贈与の廃止も議論されており、近々改正されるのではないかといわれています。富裕層の方々にとっては厳しい改正となりそうです。

思わぬトラブルが発生した今回の確定申告ですが、e-Taxも分かりやすく年々進化していて、さらに便利になっていくでしょう。一方、私どもにご依頼いただく内容は複雑化しているように感じます。
コンパッソ税理士法人では、確定申告に限らず、申告書などの内容は複数名でチェックを行い、ミスの防止策を行っています。また確定申告においても、将来のリスクや様々な可能性を考慮したアドバイスができる様心掛けています。

渋谷事務所
広報部　堀江恵美子

参照：
国税庁HP：https://www.nta.go.jp/index.htm
国税庁（No.2737 役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等（特定役員退職手当等）　https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2737.htm