テレワークと電子帳簿保存
経理課にとっていかに紙の書類を少なくするかは大きいテーマです。紙の書類がすべて電子化していけば在宅勤務も可能になるのではないでしょうか。令和2年度税制改正で電子帳簿保存法等の見直しがなされ、2020年10月1日より施行される。これによるキャッシュレス決済の利用などでさらにペーパーレス化が進んでいき、経理の負担が減っていくのではないでしょうか。
電子帳簿保存法とは
コンピュータを使って国税関係の【帳簿】や【書類】を電磁的記録によって、紙での保存に変えることができると定められた特例です。保存期間は7年間(欠損金の繰越控除を利用している法人は9年)
【帳簿】総勘定元帳 仕訳帳 売上台帳 仕入台帳 現金出納帳 賃金台帳 等
【書類】
「決算関係書類」(自社システムで発行する書類)
貸借対照表 損益計算書 棚卸表 等
「自己が発行した書類」(自社システムで発行する書類)
請求書 納品書 見積書 領収書 注文書 等
「取引先に発行による受領書類」(紙をスキャンした書類)
請求書 納品書 見積書 領収書 注文書 等
【電子取引】
「電子的に授受される書類」
請求書 納品書 見積書 領収書 注文書 等
電子帳簿の保存要件
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/05.htm
まずは経費精算から導入検討がおすすめ
帳簿全てを電子化にしようとすると、大変な労力が必要となります。
まずは、普段作業量の多い経費精算から導入してみてはいかがでしょうか。
今回の法改正で注目すべきは、経費精算に関わる部分です。経費精算については、これまでは紙での領収書が必要でした。データ保存といっても、紙の領収書をスマホなどでスキャンして、そのスキャンデータを保存するという方法が認められていました。それが、法改正により、会社側に送られる電子データのみで足りるようになります。つまり、クレジットカードやSuicaといった交通系ICカード、PayPayなどのQRコード決裁で支払った場合、会社側にデータが送信され、社員は特に何もしなくてよいという事です。
ただ、百貨店等で買い物を行った場合、加盟店名だけでは物品なのか、飲食なのか判別することができず、正確性に欠けてしまうといった問題はあります。
経費精算システム導入の検討も
経費精算を電子帳簿保存適用にする場合、経費精算システムが、これに対応していかどうかも重要になってきます。現在利用している経費精算システムが新法に対応しているかどうかを判断する基準として、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会の「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度」(JIIMA)において、認証を受けているかどうかという事があります。JIIMAは国税庁が公認しており、ここの認証があるシステムにおいては、安心であると言えます。
複合機にタイムスタンプ機能を
電子帳簿保存法では、タイムスタンプというのがキーワードになっています。改ざん等を防止するために、電子データにはタイムスタンプを付与しなければなりません。大手メーカーによっては、複合機にタイムスタンプ機能を付けている会社もありますので、まずはお使いのメーカーに問合わせてみるのがいいかと思います。
電子帳簿保存法の手続きと承認
【帳簿】【書類】どちらも電磁記録等による保存を行う3カ月までに承認申請書を提出しなければなりません。例えば決算が3月の場合12月末日までに提出となります。
国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/980528/pdf/01.pdf
国税関係書類の電磁的記録等による保存等の承認申請書
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/980528/pdf/04.pdf
電子帳簿等保存制度の見直し
(国 税)
国税関係帳簿書類の保存義務者が電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。)を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。
(1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
(2)電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法
(注)上記の改正は、令和2年 10 月1日から施行する
10月1日以降は、一定の要件のもと、キャッシュレス取引においては、会計データに取り込むことで、領収書のスキャンが不要になります。
東京本社
辻畑真成