『デリバティブ取引』について
デリバティブとは、1980年代からの金融分野における技術革新と規制緩和を背景に、株式、債券、金利、為替など原資産となる金融商品から派生した金融派生商品のことです。
その代表的なデリバティブには、先物取引(将来売買する商品の売買条件をあらかじめ決めておく取引)、オプション取引(将来商品を売買する権利をあらかじめ購入する取引)、スワップ取引(金利や通貨などをあらかじめ約束した条件で交換する取引)などがあります。原資産の取引より少ない投資金額で大きな取引ができること、投資商品の価格が値下がりした場合にも収益が得られることが主な特徴で、リスク回避や効率的な資産運用の手段として活用されています。
デリバティブを用いた取引を「デリバティブ取引」といい、取引所に上場している「デリバティブ取引」と、当事者間の契約書の締結による非上場の「デリバティブ取引」の2種類が存在します。
取引当初は、ほとんど当事者間の資金の授受はなく、最終的には、所定の契約条件に基づき、当事者間で純額により決済されることになります。このため、貸借対照表に計上されることがなく、オフバランス取引の代表的な例でしたが、金融商品会計基準の公表によりオンバランス化されることになりました。
「デリバティブ取引」の利用目的は、為替変動等によるリスクを回避するためのヘッジ目的、利益を追求するための投機的な目的、市場間の価格の差を利用して利益を得るための裁定目的に大きく分類されます。
特に、投機的な目的で投資されている場合には、その結果として多額の損失が発生し、社会問題となっているケースも多く、ほとんどの上場企業ではデリバティブへの投資に対して、リスクをモリタリングする仕組みが導入されています。
「デリバティブ取引」は、公正な評価額によって評価します。会計上では、原則として決算期末において時価評価を行い、評価損益が損益計算書に計上され、それに伴うデリバティブ債権及び債務が貸借対照表に計上されます。ただし、「デリバティブ取引」がヘッジ目的で行われる場合は、一定の要件を条件に評価損益は計上せず、ヘッジ会計を適用することが認められています。
「デリバティブ取引」の時価評価は、取引所に上場している場合は、当該取引所の最終価格等を用いて評価します。一方で、非上場の場合は、原則として市場価額に準ずるものとして合理的に算定された価額をもって評価します。
千葉旭事務所
大木 剛仁