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消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について①

2019 年10 月1日から実施された消費税の軽減税率制度において、軽減税率の適用対象品目は「酒類及び外食を除く飲食料品」及び「定期購読契約が締結された週二回以上発行される新聞」の2つです。そのため、テイクアウトや出前・宅配には軽減税率が適用されることとなる一方、店内飲食やケータリングには標準税率が適用されることになります。
テイクアウト等及び店内飲食のいずれの方法でも飲食料品を提供する飲食店等、イートインスペースのある小売店等では、同一の飲食料品の販売につき適用される消費税率が異なる場面が想定されます。このようなことから、適切な価格表示をし、消費者の適正な商品又は役務の選択を確保することが大事になります。

具体的な表示方法等
どのような価格設定を行うかは事業者の任意ですが、テイクアウト等及び店内飲食で異なる税込価格を設定する場合における価格表示方法としては以下の2つの方法が考えられます。

(1)テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示する方法
「テイクアウト等」と「店内飲食」が同程度の割合で利用される場合において、テイクアウト等と店内飲食の選択における消費者の価格判断を行う際の利便性を向上するための方法です。なお、両方の税込価格に併せて、税抜価格又は消費税額を併記することも認められます。

具体例

・イートインスペースのある小売店等の商品棚における価格表示
総菜パン 162 円 (店内飲食 165 円)

・外食事業者のメニュー表示
メニュー
ハンバーガー 330 円(324 円)
オレンジジュース 165 円(162 円)
〇〇セット 550 円(540 円)
※()はテイクアウトの値段となります。

(2)テイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法
「テイクアウト等」の利用がほとんどである小売店等において、「店内飲食」の価格を表示する必要性が乏しい場合や、逆に 「店内飲食」の利用がほとんどである外食事業者において、「テイクアウト等」の価格を表示する必要性が乏しい場合、または 「テイクアウト等」と「店内飲食」両方の価格を表示するスペースがないなど場合の方法です。

具体例

・イートインスペースのある小売店等の価格表示
(商品棚の価格表示) 総菜パン 162 円
(店内掲示等)※店内飲食される場合、税率が異なりますので、別価格となります。

・外食事業者のメニュー表示
メニュー
ハンバーガー 330 円
オレンジジュース 165 円
〇〇セット 550 円
※テイクアウトの場合、税率が異なりますので、別価格となります。

テイクアウト等か店内飲食かの消費者への意思確認については、小売店等では「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」、外食事業者では「テイクアウトの場合はお申し出ください」といった掲示により行うなど、営業の実態に応じた方法で行うこととして差し支えないものとされています。「異なる税率が適用される旨」の掲示についても、上記意思確認の掲示と併せて表示することが可能となります。

2021年3月31日までは、表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば税込価格を表示することを要しないこととされていますが、税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならないと規定されていますので、お店の価格表示について再度見直してみましょう。

出典元 消費者庁 消費税転嫁対策特別措置法
参考HP:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/consumption_tax/pdf/consumption_tax_190515_0001.pdf

川越業務部 伊藤 愛美

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