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消費増税後の報酬源泉の計算

消費増税後の報酬源泉の計算について紹介させて頂きます。
源泉徴収義務者は、居住者に対し、原稿料、講演料、工場所有権の使用料や、弁護士、税理士等の業務に関わる報酬・料金等所得税法204条に規定する特定の報酬・料金等を支払う時には、源泉徴収をしなければなりません。

◎源泉徴収後の手取り額の設定
報酬を支払う際、源泉徴収後10,000円のような切りの良い金額にするために、予め源泉徴収額を逆算して、額面を計算し、報酬を受け取る側の手取り額を10,000円(税込)にする方法があります。
これは、令和元年10月1日から消費税が10%に増税されたため、注意が必要です。

〇消費税が8%の計算方法
X(額面)+ X×8%(消費税)- X×10.21%(源泉所得税)=10,000円
というように額面をXとして計算をすると、
X=10,000円÷0.9779     ※0.9779=(1+0.08)-0.1021
X=10,225円
消費税額:10,225円×0.08=818円
源泉所得税額:10,225円×10.21%=1,043円となり、
最初の式に当てはめると、
10,225円(額面)+ 818円(消費税)- 1,043円(源泉所得税)=10,000円
となるので、税込みの額面金額は、11,043円となります。

〇消費税が10%の計算方法
同じく手取り額を10,000円とする場合
上記と同じように計算すると、
X=10,000円÷0.9979      ※0.9979=(1+0.10)-0.1021
X=10,021円
消費税額:10,021円×0.10=1,002円
源泉所得税額:10,021円×10.21%=1,023円となり、
10,021円(額面)+ 1,002円(消費税)- 1,023円(源泉所得税)=10,000円
となるので、税込みの額面金額は、11,023円となります。

〔増税の影響〕
注目すべき点は、消費税率が10%に上がった場合、額面金額は若干減るということです。
消費税率が8%時の計算では、税込みの額面金額が11,043円であったのに対して、消費税率が10%時の計算では11,023円と、20円安くなっています。
これは実質的には値下げとなります。報酬等を受け取る側からすると、不利益となります。しかし、契約書上で予め手取り額を決めており、消費税率が変更になった場合に金額を変更する旨が記載されていなければ、総額で見ると減額した報酬を支払ったとしても問題ありません。ただ、トラブルの元となる可能性があるので、事前に説明をし、承諾を取っておくことが賢明だと考えられます。

参考;国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6929.htm
青葉事務所 小嶋勇也

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