ナレッジ

KNOWLEDGE

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. 社会福祉法人
  4. 社会福祉法人と消費税

社会福祉法人と消費税

社会福祉法人と消費税

社会福祉法人は消費税を納めなくていいと誤解されている方はいらっしゃいませんか。社会福祉法人だから消費税の納税義務が無いのではありません。社会福祉法人の取引には非課税取引に該当するものが多く、課税売上高が少ないことにより消費税の納税義務が無い社会福祉法人が多いだけなのです。

【消費税の納税義務の免除】
基準期間(原則として前々事業年度)における課税売上高が1000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。(消費税法第9条)
つまり、前々事業年度の課税売上高が1000万円を超える場合には、納税義務が発生します。

【非課税取引とは】
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から、課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。(消費税法第6条)

非課税取引は、土地の譲渡・貸付や住宅の貸付などをはじめとする17項目が国税庁HPのタックスアンサーに列挙されていますが、社会福祉法人に関係する取引は主に次のものがあります。

●介護保険サービスの提供
介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど(ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。)

●社会福祉事業等によるサービスの提供
社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供

●一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
義肢、盲人安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車いす、改造自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負及びこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの

【社会福祉法人における課税取引に該当する収入】
社会福祉法人は様々な事業を行っているため、画一的な判断は難しく、課税・非課税の取引区分は各事業に応じて個別に判断します。

一例ではありますが、次のようなものが課税取引に該当します。
・福祉用具(身体障害者物品に該当するものを除く)の販売・貸与
・サービスの一部を委託された場合のその受託業務
・サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームのサービス提供に係る収入
(家賃相当額及び介護保険サービス提供を除く)
・事業用固定資産の売却
・利用者以外の者に対する役務提供
・自動販売機手数料
・施設主催の祭り売上金
・駐車場賃貸業等

【消費税額の計算方法】
⑴ 本則課税
課税売上に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除して消費税額を計算します。ただし、社会福祉法人の場合、非課税売上の占める割合が高いので、課税仕入に係る消費税額のうち課税売上に対応する部分しか控除することができません。

⑵ 簡易課税
課税売上に係る消費税額から「みなし仕入率」を乗じて計算した金額を控除して消費税額を計算します。
簡易課税制度を選択できる法人は、基準年度の課税売上高が5000万円以下の法人で、簡易課税選択届出書を課税期間の開始の日の前日までに所轄税務署長に提出している法人に限ります。

消費税は、ひとつひとつの取引が課税取引であるのか、非課税取引であるのか、課税対象外取引であるのか、正確に判断しなければなりません。また、今まで免税事業者であったとしても、何か新しい事業を始める場合など、納税義務について見直さなければなりません。

社会福祉法人で会計や税務に従事されている方で、不明な点等ございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

参考:№6201 国税庁HP 非課税となる取引
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6201.htm
横浜青葉事務所 青木誠

関連記事