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社会福祉法人の予算はここをチェック!

社会福祉法人の予算はここをチェック! ~法人経営に活かすには~

今年度も終わりが近づいてまいりました。今期の業績を振り返りつつ、来年度の予算についても頭を悩ませる時期ですね。予算というと「作成が面倒」という印象を抱く方も多いのではないかと思いますが、きちんと考えて作成された予算は法人の中長期的な安定経営を目指すうえで大変有効なツールとなりますので、これを活かさない手はありません。経営に活かすことができる「生きた予算」「血の通った予算」になっているかどうか、少なくとも以下の2点をチェックしてみてください。

1 「当期資金収支差額」は実現可能性の高い計画となっていますか?

法人の経営は、将来法人がどのような姿でありたいかという中長期の理想を実現し、永続的に発展させるために行うものです。予算書の「当期資金収支差額」は、その理想を実現するためには次年度末にどの地点に到達していなければいけないかを表します。

マラソンを例にとってみましょう。42.195キロという長い道のりを3時間で走ることを目標に掲げたとします。10キロ地点の目標通過タイムを40分前後に設定していれば最終目標も達成できそうですが、仮に10キロ地点の目標通過タイムが1時間以上となっていたら、残りの道のりはかなりペースを上げていかないと最終目標の達成は叶いません。逆に、10キロ地点の目標通過タイムを20分に設定してしまうと、10km走の世界記録以上の超ハイペースで走らねばならず、3時間という最終目標を達成する前にスタミナ切れを起こしてしまいかねません。

予算書の「当期資金収支差額」は、マラソンで言う10キロ地点の目標通過タイムとよく似ています。現状を冷静に分析し、実現可能性があるものになっているかを確認してください。明らかに実現不可能な目標になっている場合、スタートしてすぐに最終的な目標達成を断念せざるを得なくなり、予算書はその本来の意味を失ってしまいます。

2 各科目の計上額は根拠ある数字になっていますか?

上で見た「当期資金収支差額」は、法人の本業収支(事業活動収支)に、固定資産の取得に伴う支出とそれに関連する補助金収入、借入金の返済支出等を加減算して示されるものです。これら収支の予算額は、根拠を持って計上されたものになっているでしょうか?「当期資金収支差額」に合わせて無理な調整をしていませんか?無理な調整をしてしまうと、「当期資金収支差額」の実現可能性も著しく低下します。

根拠のある数字とは、「いつから」「何を」「どうすることで」「いくらになるか」の4点を説明できるということです。これらを合理的に説明することができる状態になっていれば、
・いつの段階で何をすればいいのか、予算書がその「行動指針」となる
・予算と実績との乖離が生じた場合に、その原因の把握が容易となり、対応策を立てやすくなる
といったメリットが生まれてきます。

皆様が作成された予算書の各科目に計上された金額をもう一度見直してみましょう。すべての数字について整然と説明できる状態になっていれば、あとはそれを着実に実行に移すのみです。

せっかく知恵を絞り、手間をかけて作成した予算書です。作成して終わり、ではあまりに勿体ないですね。適時正確に会計処理を行い、予算書に計上した金額に対する実績の進捗度合いを毎月確認しながら経営を行っていただければ、法人の理想像に一歩一歩近づいていくことができるのではないでしょうか。

予算作成でお困りの際には、私どもに是非お声掛けください。ともに法人の将来を語り合うことで、明るい道筋がきっと見えてくるものと思います。

横浜青葉事務所 村山健太

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