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生産性向上は次期介護報酬改定の重要テーマに

労働力人口急減と介護事業経営

DXやITの活用による生産性の向上という話題について目にすることが多くなっている昨今ですが、それは介護業界にとっても例外ではありません。令和6年度の介護報酬改定に向け、国は「介護現場の生産性の向上の推進」を一つのキーワードとして動き始めています。

そもそもの出発点としては、我が国の人口構造の転換点となる2025年がすぐ目の前に迫っていることが挙げられます。いわゆる「2025年問題」と言われるもので、高齢者急増から現役世代急減へと人口構成の局面が大きく変化すると見込まれており、労働力人口の急激な減少が介護事業者の経営に大きな影響を与えることは想像に難くありません。

デジタル技術は介護事業を救うのか

そこで、国は介護現場の生産性の向上を図って問題の解決を図ろうとしているわけです。6月に政府が閣議決定した「規制改革実施計画」でも、ICTなどを活用して介護施設の人員配置基準を緩和するべきとの提言がされるなど、この点に注力する姿勢を明確にしており、次期報酬改定で何らかの形となって表れてくる可能性が出てきています。

この動きに対する介護業界の反応は決して好意的なものではありません。東京都社会福祉協議会が行ったアンケートでは「ICTで職員の負担軽減はできたとしても、人間の代わりにはならない」といった理由から、実に7割の特養が配置基準の緩和に反対をしているとの結果が出ています。また、配置基準の緩和が将来の介護報酬の大幅マイナスに直結し、ただでさえ苦しい経営がさらに苦しくなる、という危惧を抱いている方も多いのかもしれません。

ただ、国としても、介護職員の仕事をいきなりロボットが全て行えると考えているわけではなく、業務の効率化の一つの手段としてまずはICT導入に目を向けてほしいと考えているようです。令和4年7月に厚生労働省がホームページで生産性向上の取り組みやICT導入の促進に向けて数々のツールを公開したのも、そうした考えの現れと言えると思います。

まずは問題の把握から

公開されたツールの中には、職員がどの業務にどの程度時間を取られているかを視覚的に捉えるための「業務時間見える化ツール」や、職員が職場で感じている課題を集約してグラフ化するための「課題把握ツール」など、日々当たり前と思って行っている業務の棚卸しを行えるエクセルシートがあります。

中でも「業務時間見える化ツール」は、介護職員の行う業務をご利用者にサービス提供する直接業務と、それ以外の間接業務とに分け、それぞれに費やされている時間を見える化することができるように作られています。これを活用することで、間接業務にかかる時間の多さを課題と認識し、その短縮を図るための一つの手段としてICTの力を借りることを検討するきっかけになり得るでしょう。ご利用者へサービスを提供する直接業務時間が増え、サービスの質の向上につながるのであれば、職員の皆さんもこれまで敬遠しがちだったICTの導入を前向きなものとして捉えられるようになるのではないでしょうか。

また、結果的にICTの導入には結びつかなかったとしても、日々の業務に対して問題意識を持ちその対応策を考えることは、年々苦しさを増す介護事業の経営の改善にも役立つと思います。

こうした動きはまだ始まったばかりで、増収に結びつく加算も多くなく、食指が動かない事業者も多いようですが、ICT活用の流れが今後後退することは考えづらいため、10年後20年後の介護現場の姿を思い浮かべながら今出来ることから取り組んでいただくことをお勧めいたします。

私たちも介護事業経営者の皆様に寄り添いながら、様々な課題の解決に向けて一緒に考えていきたいと思っております。ご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

横浜青葉事務所
村山 健太

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