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要注意!副収入は確定申告!?

新型コロナウイルス感染拡大により期限が延長さてれいる確定申告も、まもなく期限となります。

1年前、2019年度の確定申告のときにはそれほど目立ちませんでしたが、2020年度の業務を進めるにつれて、下記の様な理由で個人の収入の体系が複雑化していることがわかりました。

【2か所以上の会社からお給料をもらう人】
【株式投資・暗号資産取引を始めた人】
【不動産賃貸業を始めた人】
【新たに事業を始めた人】

コロナ禍で収入の増加や安定を目指して、2019年4月に施行された【働き方改革関連法】を実際にみなさんが活用し始めていることを実感しました。

このように複雑化した収入体系の中から今回は【会社員の副収入】をピックアップし、「勘違い」「思い込み」などでついつい忘れてしまいがち・間違ってしまいがちな注意しておきたい事柄についてお話していきます。

一般企業に勤める会社員の多くの場合は、勤務先が行う年末調整によって納税手続きが完了するため、確定申告は必要ありません。ただし、会社員であっても以下に示す7つの項目のうちひとつでも該当する場合は、確定申告が必要です。

★給与所得者で、確定申告が必要な人★

(1)給与の収入金額が、2,000万円を超える人
(2)1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
(3)2か所以上から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計が20万円を超える人
(4)同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
(5)災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
(6)源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
(7)退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

年末調整を行った会社員で【給与所得】【退職所得】以外、つまり【副収入の所得】が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
ですが、これは「所得控除や税額控除を受けない=個人で確定申告をしない」ということが大前提なのです。
個人で確定申告をする場合、即ち【医療費控除】【寄付金控除(ふるさと納税)】【住宅ローン控除の適用初年度】等、各種控除を受ける人は、副収入の所得が20万円以下でも“必ず”確定申告をしなければなりません。
「確定申告」とは、例外なく全ての所得を曝け出すことです。
(これらは所得税についての場合です。住民税は副収入がある場合必ず申告してください。)
というと「片っ端から申告しないと脱税になってしまう」というようなイメージを持ってしまいそうですが、実際には納税者には選択の余地があり、確定申告をしない方が有利な場合もあります。

例えば、
給与所得は年末調整済みの鈴木さん(仮称)。
鈴木さんの2020年の副業による所得は18万円でした。
この条件だけであれば、確定申告の必要はありません。
ところが鈴木さんは、2020年中にケガをしてしまい、入院や治療費など多額の医療費が掛かってしまったので医療費控除を受けようと考えました。受けられる医療費控除の金額は10万円だとしたら、鈴木さんは確定申告をしたほうが得なのでしょうか。

鈴木さんが
<確定申告をしない場合>
追加で納税する必要はありません。
ですが、医療費控除を受けることもできません。

<確定申告をする場合>
医療費控除を受けることができます。
ですが、18万円の副収入の所得を申告する必要があります。
つまり18万円に対する「納税」が発生します。

<確定申告をする場合>の「18万円に対する納税」とは具体的に
【副収入による所得:18万円】-【医療費控除額:10万円】=【課税所得額:8万円】
となり、医療費控除で還付を受ける予定が、副収入の所得と相殺されてしまって【追加で納税する必要が発生してしまう】というようなことも起こります。

もちろん納税は義務ですので、納税者として素晴らしい行為ですが、追加で納税が発生するということが煩わしくちょっと損したような気分にもなりますね。
どちらを選ぶかはみなさんそれぞれの判断になりますが、どちらのほうが「自分が納得いく結果」になるか考えてみてください。

<参考>
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(2021.3.10)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

千葉流山事務所 
大池 由梨

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