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メンタルヘルス対策に取り組む事業所は63%

厚生労働省は、2023年8月4日「令和4年(2022年)労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を取りまとめ、公表しました。

同調査は、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について把握し、今後の労働安全衛生行政を推進するための基礎資料を得ることを目的に実施されています。

調査対象は、全国の約1万4,000事業所と約1万8,000人の個人です。

調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%(2021年調査59.2%)で、前年調査より4.2%増加しました。
 
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所が増加した背景は、近年の経済・産業構造が変化する中、ストレスを抱えている勤労者の増加傾向、業務による心理的負荷などによる労災補償状況の請求件数、認定件数の増加傾向、心の健康を崩すことが原因での長期休みで事業所の生産性の低下を招くことも多くなっているためと考えられています。

メンタルヘルス対策の取り組み方法として最も多く利用されていたのは、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」の63.1%でした。

ストレスチェックとは、労働者のストレスについて調査票を用いて現在の状況を把握し、本人に気づきを与えるために実施することが目的です。(労働安全衛生法第66条の10)
ストレスチェック調査票には、以下の3項目を含める必要があります。

1 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
2 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
3 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

3項目の質問を点数化し、調査結果よりストレス状態を判定します。

ストレスチェックを実施した場合は、結果を一定の集団(部・課など)ごとに集計・分析することが事業者の努力義務となっています。(労働安全衛生規則第52条の14)
この結果を職場環境の改善に活用したメンタルヘルス対策を実施することで、

・労働者自身によるストレスへの気づき、早期発見・対処し、職場の生産性低下を防止
・労働者のワークモチベーションを維持し、生産性や活力を向上
・集中力や注意力の低下による事故、トラブルの防止、リスクマネージメント

など、労働者の心の健康を守るだけではなく、企業における生産性や労働者の活力向上に期待ができます。

事業所において、継続的に労働者の心の健康を保持し、メンタル不調の予防・早期発見・早期対応に積極的に取り組むことで、労働者・事業所双方にとって、より働きやすい職場環境づくりにつながるでしょう。

出典・引用元 厚生労働省 労働安全衛生調査(実態調査)
       厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
 労働安全衛生法
 労働安全衛生規則

川崎事務所 
大島 裕美

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