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働けなくなっても補償を受けられる!労働者の生活を守る「労働保険」

業務中のケガなど、不測の事態は起きるもの

長年にわたって業務に携わっていると、業務中にケガをしたり、または病気になって働けなくなったりすることがあるほか、やむを得ない理由で失業してしまうことがあります。

原則として働かなければ収入は得られませんが、万が一の事態に見舞われても生活ができるようにするため「労働保険」の制度が設けられています。

労働保険とは?

労働保険とは、労働者がケガや失業で働けなくなった場合に補償される保険制度のことで、労災保険と雇用保険があてはまります。

企業が労働保険に加入すると、労働基準監督署より全部で14ケタからなる労働保険番号が設定されます。

労災保険とは?

労災保険とは、労働者が通勤中、あるいは勤務中にケガや病気、死亡事故に見舞われた場合に補償される制度です。

労災保険の加入対象は企業に勤務する全ての従業員で、正社員や契約社員のほか、パート、アルバイトも含まれます。

労災が発生した場合の保険給付の種類としては、以下があげられます。
・療養(補償)給付(ケガや病気での療養時に給付)
・休業(補償)給付(ケガや病気で休業している場合に給付)
・障害(補償)給付(ケガや病気が原因で障害が残った場合に給付)
・遺族(補償)給付(業務や通勤時の災害が原因で死亡した場合に給付)
・葬祭給付(業務時または通勤時に死亡した人の葬祭料を給付)
・傷病(補償)年金(ケガや病気で療養し、1年6か月を過ぎても治癒しない場合に給付)
・介護(補償)給付(ケガや病気で介護が必要になった場合に給付)
・二次健康診断等給付(健康診断で数値が異常だった場合に給付)

雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者が失業した場合に失業中の生活費を補償する制度で、一定の期間内において一定額の給付金が支給されます。

雇用保険の加入対象は、31日以上の雇用が見込まれていること、1週間あたりの労働時間が20時間以上であることですが、学生は原則として雇用保険に加入する必要はありません。

また、事業主は、雇い入れた従業員が雇用保険の対象となる場合、雇用保険被保険者資格取得届を、従業員の入社日を基準として翌月の10日までに提出しなければなりません。

労働保険の保険料率は?

労働保険の保険料率に関しては、労災保険と雇用保険で異なります。

労災保険の保険料は事業主が全額を負担するため、労働者は負担する必要がありません。

なお、労災保険料率は業種によって異なりますが、危険性の高い業務ほど保険料率が高くなる傾向にあります。

一例をあげると、林業の保険料率は60/1000であるのに対し、食料品製造業の保険料率は6/1000となっています。

雇用保険の場合は労働者と事業主の両方が負担します。平成31年度の雇用保険料率は事業の種類によって異なります。
・一般の事業:労働者3/1000、事業主6/1000、合計9/1000
・農林水産、清酒製造の事業:労働者4/1000、事業主7/1000、合計11/1000
・建設の事業:労働者4/1000、事業主8/1000、合計12/1000

上記にあげた労災保険料率と雇用保険料率は、いずれも2019年時点のものです。

また、労働保険料を仕訳する場合は、労働保険料が福利厚生費用の一環としてみなされることから、勘定科目は「法定福利費」となります。

労働保険の年度更新

労働保険の年度更新とは、労働保険の保険料を納付する方法を定めた制度のことです。

労働保険料の計算においては、4月1日から翌年の3月31日までの1年間を基準としていますが、年度末の時点で賃金計算を行ったうえで保険料を算出すると、保険料を納付する時期が遅くなってしまいます。

それを防ぐために、年度内の時点において概算で保険料を納付し、年度末以降に保険料額を確定させます。

この場合、年度内に納付した保険料だけでは不足分が発生するため、不足している分については、保険料が確定したあとの時点である年度末以降に納付します。

労働保険の年度更新の手続き期間は、6月1日から7月10日までの間となります。前年度分の労働保険料の金額を確定させて申告と納付を行い、同時に当年度分の概算保険料の申告と納付も行います。

保険料を納付する場合には、申告書もあわせて提出します。

なお、手続きが遅れると罰則として追徴金が課せられる場合があるので注意が必要です。

労働者としては、業務が原因のケガや病気、そして失業は避けたいところですが、万が一働けない状態になったとしても、労働保険で補償されています。

労働保険の制度を適切に利用し、日々の生活を守っていきましょう。

(画像は写真ACより)

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