企業の総務部が知っておきたい知的財産権~デザイン~
ビジネスシーンで気を付けなければいけない知的財産権について、弁理士の井上先生に解説頂きました。
5回にわたり、企業の総務部が気を付けるべき知的財産についてお書き頂いています。
・社内報の作成についての知的財産権法上の注意点
・新聞記事、新聞のクリッピングについての知的財産権法上の注意点
・ノベルティ作成についての知的財産権法上の注意点
・イベント運営についての知的財産権法上の注意点
・デザインについての知的財産権法上の注意点(今回)
総務部のお仕事は、経営陣の方々、社内のすべての部署の方々と関係し、非常に重要で、広範囲にわたっています。それゆえ、無意識のうちに知的財産権に絡んだお仕事をしていることがあり、知的財産権との関係において注意すべき点を知っておく必要があります。
デザインについての知的財産権法上の注意点
2020年4月1日施行の意匠法により画像デザイン、空間デザインについて意匠権を取得できるようになりました。
意匠法の改正前は、スマートフォンのような物品に記録されている画像が表示される場合には意匠権を取得できました。
しかし、物品に記録されてなく、サーバなどから送信され、利用の都度表示される画像のデザインは意匠権を取得できませんでした。
今回の意匠法改正により、物品に記録されてなく、サーバなどから利用の都度表示される画像のデザインについても意匠権を取得できるようになりました。
また、道路のように物品以外の場所に投影される画像についても意匠権を取得できるようになりました。
このような画像デザインを侵害しないように注意する必要があります。但し、壁紙のように装飾的な画像、ゲーム画像のようなコンテンツ画像については意匠権の保護対象とはなりません。
また意匠法の改正前は、ビル、家屋、塔などの建築物は保護対象となりませんでしたが、改正後は保護対象となりましたので、これらの建築物についても意匠権侵害とならないように注意する必要があります。さらに、レストラン、バーのような店舗デザインなど建築物の内装についても意匠法の保護対象となりましたので他店舗の内装を真似すると意匠権侵害となりかねません。
もちろん、すべての画像デザイン、空間デザインが意匠権として登録されるわけではなく、登録要件を満たしたものが登録されることとなります。
東京UIT国際特許業務法人
弁理士 井上 正
・意匠法の改訂で画像・空間デザインについても意匠権を取得できるようになった
・建築物や内装についても保護対象になったので、他店舗の内装を真似すると侵害の可能性がある
・保護対象であっても登録要件を満たさなければ登録されない
参考ホームページ
公益財団法人著作権情報センター
https://www.cric.or.jp/index.html
新聞著作権協議会
http://www.ccnp.jp/
一般社団法人日本音楽著作権協会
https://www.jasrac.or.jp/index.html
東京UIT国際特許業務法人(http://www.uit-patent.or.jp/)
3名の異なる専門分野の弁理士によって設立された特許業務法人。
とりわけAIやITといった分野に強く、30年のキャリアの中で多数の案件に携わっている。
その他、意匠や商標にも対応しており、ビジネスにおける様々な知的財産権の問題や事前対策を相談できる事務所である。