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企業での働きやすさの指標となる「定着率」引き上げるための方法は?

定着率を実際に計算し、定着率の平均値と比較しよう

企業の中には「せっかく社員を採用したのに長続きしない」と悩んでいる場合があるかもしれませんが、そのような場合は「定着率」を実際に計算してみてはいかがでしょうか。

入社3年後の定着率の目安は60%台に収まることが多いですが、それを下回る場合は、何らかの対策が必要といえます。

定着率とは?

定着率とは、ある時期に企業に入社した人たちが、一定期間を経過した時点でどの程度定着しているかを数値で表したものです。

なお、定着率に関連しているワードとして「離職率」がありますが、離職率とは、ある時期に入社した人たちが一定期間を経過した時点でどの程度離職したかを数値で表したものとなります。

例えば、ある年に新卒が100人入社して、入社1年後の時点で10人が退職した場合、残っている社員は90人となります。

この場合、入社1年後の定着率と離職率は以下のように計算できます。
定着率:(90÷100)×100=90%
離職率:(10÷100)×100=10% 

また、入社3年後の時点で35人が退職した場合、残っている社員は65人です。

この場合、入社3年後の定着率と離職率は以下の通りです。
定着率:(65÷100)×100=65%
離職率:(35÷100)×100=35% 

定着率と離職率の関係をみてみると、定着率が高いほど離職率は下がり、定着率が低いほど離職率が上がることから、両者は対の関係にあることが分かります。なお、両者の割合を合算すると100%になります。

離職率に関するデータとしては、厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」が参考になります。

学歴別に1年目、2年目、3年目の離職率が掲載されていますが、平成28年3月卒の入社3年後の離職率は以下の通りです。
・中学卒:62.4%
・高校卒:39.2%
・短大等卒:42.0%
・大学卒:32.0%

なお、平成28年3月時点の卒業者数は、大学卒が約45万人、短大等卒が約15万人、高校卒が約18万人、中学卒が1190人です。

参考:厚生労働省 
新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000556418.pdf

入社3年後の離職率は中学卒が60%台と突出しているものの、母数が少ないことを踏まえると、全体的な離職率を平均すると30%台から40%前後にとどまるといえます。

つまり、定着率に換算した場合、平均的な数値は60%台といえるでしょう。

なぜ、定着率を上げる必要があるのか?

定着率を高めた方が良い理由としては、人材の流出を防げることですが、特に優秀な人材の流出防止に一役買うことになります。

よく言われていることとして「優秀な人材ほど早い段階で辞めてしまう」ことがありますが、その理由は、優秀な人材ほど企業の今後の状況を先読みする能力が高く、先行きが見通せない場合には迅速に退職してしまうこと、そして、他社への転職が比較的容易にできるためです。

優秀な人材の流出は、企業にとって貴重な戦力を失うことになり、残された社員のモチベーションも低下しがちとなります。

そのうえ、社員を新たに募集し、戦力となる社員を育成するためには、企業にとって余分なコストがかかることになってしまいます。

その点、定着率を上げることができれば、企業の生産性が高い状態を維持できるほか、人員の募集、育成という余分なコストをかける必要がなくなります。

このことからも、定着率の向上は企業にとって重要な施策といえるのです。

定着率を上げるための方法は?

定着率を上げる方法としては、「企業方針を明確にすること」、「全体的に風通しの良い雰囲気とすること」、「ワーク・ライフ・バランスが実現できる働き方であること」があげられます。

企業方針を明確にするべき理由としては、企業の考え方に賛同できる社員が集まりやすくなるためです。

明確な目標を掲げれば、社員はその目標の達成に向けて熱心に努力することが期待できるため、定着率が上がるだけでなく、生産性の向上も見込めます。

また、社内を風通しの良い雰囲気にするということは、社内のコミュニケーションを密にするということです。それによって、社員同士が同じ方向を向いて作業を行えるようになることから、業務の効率化が期待できます。

さらに、風通しの良い雰囲気であるほど、社員を適切に評価することが可能となります。適切に評価できることで社員の昇級や昇格につながりやすくなるため、社員のモチベーションアップも見込めます。

そして、今の時代の企業が目指したいことは「ワーク・ライフ・バランス」を実現させることです。長時間勤務や休日出勤は社員のモチベーションの低下につながりやすいため、定着率が低下する原因につながってしまいます。

休日出勤を行わないようにすることも大切ですが、極力残業をしなくても業務が回る仕組みをつくり、プライベートの時間を確保できるようにすることは定着率の向上に有効といえます。

現在は少子高齢化が進展しており、企業としては人員の確保が難しい状況といえます。定着率を高めるための施策を取り入れながら、社員にとって働きやすい環境づくりを目指していきましょう。

(画像は写真ACより)

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