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外国法人税の税額控除

日本国内の法人に対しては、全世界で得た所得に対して日本の法人税の課税が行われます。
ところで日本国内の法人が国外での取引等によって相手国で法人税の課税対象となる場合、日本と相手国で同一所得に対して二重に課税されることになります。
この二重課税を税額控除により排除する制度が外国税額控除制度です。

外国税額控除の対象となるのは、外国の法令に基づき、法人所得を課税の標準として課される外国法人税です。外国法人税については、外国の税体系が日本と同様の方式を採用しているとは限らない為、法令によってその範囲を限定しています。例えば所得に対する税負担が日本の実効税率(35%)よりも高率である場合には、超える部分について控除対象外国法人税から除かれるとしています。

納付した外国法人税の全額が控除されるのではなく、以下の計算式による外国税額控除限度額が設けられています。

・外国税額控除限度額=全世界所得に対する日本の法人税額×国外所得金額(注)/全世界所得金額
(注)全世界所得の90%が限度となります。

納付された外国法人税については税額控除方式と損金算入方式を選択することが可能です。例えば赤字の法人については課税所得が発生しない為、税額控除の適用を行っても税額に影響がありませんので損金算入方式を選択した方が有利となります。また外国税額控除限度額が不足している場合も前記同様損金算入方式を選択した方が有利となる場合があります。対して利益が出ている法人については税額控除方式の方が有利となるケースがほとんどです。
この方式は、一事業年度ごとに選択をすることが可能です。一事業年度内で複数の外国法人税を納付している場合、国ごとに方式の選択をすることはできません。

外国税額控除制度では、控除しきれない外国税額(控除限度超過額)や、控除限度額を使い切れない余裕枠(控除余裕額)が生じる場合には、翌事業年度以降3年間繰越すことができます。

損金算入方式を選択した場合は、それまで繰り越してきた控除限度超過額及び控除余裕額は切り捨てられ、以後、繰超すことができなくなりますので注意が必要です。

外国税額控除制度の適用を受けるには、確定申告書に所定の明細(別表)を記載し、また控除対象外国法人税が課税されたことを証明する書類を保存しておく必要があります。

参照 国税庁HP:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/16/16_03_02a.htm

千葉流山事務所 佐藤智成

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