ちょっと待って!その相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度を利用した場合、贈与税の計算上2,500万円まで非課税になりますが、相続が発生した時には、非課税になった金額も相続税の計算に組み込まれ、相続税が課税されることになります。この制度の利用については、次の点に考慮が必要です。
① 相続時精算課税制度は撤回不可(暦年課税には戻れない)
相続時精算課税制度を適用した場合には、その相続時精算課税制度に係る贈与者から贈与を受けた財産については、暦年課税制度(控除額110万円)を適用することができません。(他の贈与者からの贈与に関しては、従来どおり暦年課税が適用出来ます。)
② 評価額が下がりそうな財産には向かない
将来、その評価額が下がりそうな財産は、相続時精算課税制度を行わない方が良いと思います。相続時に、相続時精算課税制度の適用を受けた財産は「贈与時の価額」を相続税の課税価格に算入して計算します。つまり、将来、相続時に贈与時よりも、その財産の評価額が下がっていても「贈与時の価額」で相続税が計算されることになります。特に建物などは毎年その評価額が減少するため、相続時精算課税制度による贈与には、あまり向いていないと思われます。
③ 物納できない
相続時において、相続時精算課税制度を適用して取得した財産を「物納」に廻すことは出来ません。
④ 小規模宅地等の特例の適用が出来ない
相続時精算課税制度で取得した宅地等については、小規模宅地等の特例を受けることが出来ません。
小規模宅地等の特例とは、宅地の評価額を最大80%減少させることができる相続税の特例です。適用にはこのほかにも要件があります。
⑤ 不動産取得時の登録免許税等が相続時よりもかかる
・ 相続時に不動産を取得した場合の登録免許税(0.4%)が、相続時精算課税では2.0%になります。
・ 更に相続時、非課税だったはずの不動産取得税が3%課税されます。
相続時精算課税制度の適用をお考えの方、またその他、相続税の試算をご検討の方がいらっしゃいましたら是非、我々コンパッソ税理士法人にご相談下さい。
千葉流山事務所 長谷景太