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認定医療法人とは?メリットや注意点について

持分あり医療法人の場合、病院の運営を頑張ったおかげで医療法人の資産も増えたけれど、持分の価値が上がり過ぎて相続税が多額に課税されたり、多額の払い戻しを請求されたりするリスクがあります。これを解決する手段の一つが認定医療法人の制度です。

令和5年医療法改正により、令和5年9月30日が期限であった認定機関が令和8年12月31日まで延長され、認定を受けてから移行を完了するまでの期間も3年から5年に緩和されることが決定しました。

認定医療法人とは

認定医療法人とは、持分なし医療法人への移行について計画的な取組を行う医療法人を国が認定する仕組です。持分の払い戻しなどにより医業継続が困難になることなく、当該医療法人が引き続き地域医療の担い手として、医療を継続して安定的に提供していくため、医療法人による任意の選択を前提としています。

認定された医療法人は、次の相続税、贈与税の納税が猶予・免除されます。

1,出資者の持分を相続により取得したときの出資者の相続人に課される相続税
2,出資者が持分を放棄したことにより他の出資者の持分が増加することで贈与を受けたものとして他の出資者に課されるみなし贈与税
3,持分あり医療法人の出資者全員が持分を放棄したことにより、経済的利益を受けたものとして医療法人に課されるみなし贈与税

認定の要件

認定を受けると本来課税される税金について優遇される制度となるため、認定を受けるには以下の8つの要件が課されています。

1,法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと
2,役員に対する報酬等が不当に高額にならないよう支給基準を定めていること
3,株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと
4,遊休財産額は事業にかかる費用の額を超えないこと【決算数値】
5,法令に違反する事実、帳簿書類の隠蔽等の事実その他公益に反する事実がないこと
6,社会保険診療等(介護、助産、予防接種等を含む)に係る収入金額が全収入金額 の80%を超えること【決算数値】
7,自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること
8,医業収入が医業費用の150%以内であること【決算数値】

移行後も6年間はこの8要件を満たし続ける必要があり、要件を満たさなくなった場合は認定が取り消されてしまいます。

まとめ

認定医療法人制度は、税金の猶予・免除がされるメリットもありますが、今まで築いてきた持分を放棄することでもあるため、その選択は慎重に行う必要があります。
また、要件や制度が複雑であり、移行手続きに長期間を費やすため入念に準備を行ったうえで進めていくことが大切です。

参考:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000864652.pdf

吉田 勝

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