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人材へ「投資」する

企業にとって、よい人材を獲得するという目標は常につきまとう課題です。
昨今の労働人口の減少による人材不足はもちろんですが、価値観の多様化など、経営環境や労働環境に関わる背景が急速に変化している状況もあり、よい人材の確保は一層難しくなっています。

近年、人的資本経営が注目されています。

人的資本経営とは、経済産業省HPにおいて「人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と定義されています。

人的資本が注目されている背景として、世界的なESG投資の広がりが挙げられます。

ESG投資とは、財務的な要素に加えて非財務的な要素である環境、社会、企業統治を考慮する投資のことです。有価証券報告書における人的情報開示の要請も開始されています。

人的資本はESG投資において「社会」の評価に関する重要な要素となります。人材は単なる「資源=コスト」ではなく、人材へ「投資」することで企業の売上が上がっていく、という企業価値の向上につなげる考え方によるものです。

具体的に人材への「投資」とは、例えば多様な雇用形態の導入、労働環境の改善、福利厚生制度の充実、適材適所の配置環境構築、研修教育(学び直し)の実施、報酬との連動などが挙げられます。

もちろん、各企業によって企業理念や事業内容などは様々ですから、自分の会社にとってどのような人材が必要なのかまずは明確化することが必要です。

その上で、求める人材に積極的に投資していきます。このとき、企業の経営戦略を社員が共有できるような方向で戦略的に投資をしていくとよいでしょう。

例えば、企業の目指すビジネスモデルは社員と共有できているでしょうか?

人材への戦略的な投資により社員との連携が実現すると、社員の働く意欲が向上し組織に対する愛着心も湧いてきます。社員の意欲が自発的に向上すれば社員自身も成長しますし、企業の付加価値にもつながります。

ESGを考慮した経営に取り組み、特に人材に「投資」できる企業は、今後は就職先としても注目されるようになり、よい人材も自然と集まってくることでしょう。そして、そのような企業にとってよい人材の獲得という目標は、もはや課題ではなくなるかもしれません。

参考
・経済産業省ホームページ
・人材版伊藤レポート2.0(令和4年5月)

高田馬場事務所
高野幹子

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