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非課税になる福利厚生費とは?正しい理解で節税しよう!

就活生は福利厚生の充実を求めている

労働者とその家族の健康維持につながったり、労働者の満足度を高めたりするなどの効果がある福利厚生は、多くの就活生が会社選びで重視するポイントでもあります。

2018年4月に株式会社マイナビが公開した「2019年卒マイナビ大学生就職意識調査」によると、全体の13.7%が企業を選択するポイントとして「勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社」を挙げています。内訳を見ると、文系男子が10.7%、理系男子が10.0%、文系女子が17.6%、理系女子が18.4%で、女子の方が福利厚生を重視していることが分かります。

福利厚生制度は、賢く活用することで節税につなげることができます。しかし、1歩間違えると課税扱いになってしまうので注意が必要です。今回は非課税になる福利厚生費について見ていきます。

福利厚生費は大きく2種類に分けられる

福利厚生費は法定福利費と法定外福利費の2種類があります。

法定福利費は、法律で義務づけられているため、労働者を雇用する企業は必ず負担しなければいけません。一般社団法人 日本経済団体連合会が実施した「第62回 福利厚生費調査結果報告 2017年度(2017年4月~2018年4月)」によると、法定福利費は労働者1人1ヶ月当たり84,884円かかっています。

内訳を見ると、厚生年金保険が47,375円と最も高く、健康保険・介護保険が31,119円、雇用保険・労災保険が5,123円、子ども・子育て拠出金が1,182円、その他が84円となっています。

一方、法定外福利費は企業が労働者のために任意で行う福利厚生制度にかかる費用です。「第62回 福利厚生費調査結果報告 2017年度(2017年4月~2018年4月)」によると、労働者1人に対して、法定外福利費は1ヶ月当たり23,452円かかっています。負担金額は住宅関連費用が11,436円と最も高く、ライフサポート費用5,606円、医療・健康費用2,802円が続きます。

法定福利費及び法定外福利費は、法人税を計算する際に収益から差し引くことができます。そのため、福利厚生制度にかかる費用が増えると節税につながると言えるのです。

法定外福利費を非課税にするポイント

法定福利費は法律で一律に決まっているので、企業間で差が出ることはなく、課税対象が非課税になるのか判断に迷うことはありません。そのため、ここでは法定外福利費に絞って、非課税にするためのポイントを紹介します。

法定外福利費を非課税にする1つ目のポイントは、福利厚生制度が全労働者に周知されていて、平等に利用できることです。

例えば、社員旅行を行う際に、全労働者を対象にしている場合は福利厚生費として処理することができますが、役員だけで行く場合や、対象が一部の労働者に限定される場合は課税扱いとなります。工場や支店ごとに旅行に行く場合は、各職場で働く労働者の50%以上が参加することで福利厚生費として見なされます。

ただし、全労働者を対象にしている旅行であっても、旅行の期間が4泊5日を超える場合や、金銭との選択が可能な場合には課税対象となるので注意が必要です。

2つ目のポイントは、法定外福利費の金額が常識の範囲内であることです。例えば、労働者に対して社宅や寮を貸す場合、毎月賃貸料相当額を給与から受け取っている場合は非課税となりますが、無償で貸す場合には、賃貸料相当額が課税対象になります。

3つ目のポイントは、実施する制度の目的が労働者の福利厚生を目的としていることです。体育館や売店、食堂などは、一般的に、事業活動に必要だとは考えられないため、福利厚生施設として取り扱うことができます。

しかし、更衣室や仮眠室、宿泊室などは、業務用として一切使用していない場合は非課税となりますが、深夜勤務の途中で仮眠がないと業務ができない場合などは、業務上必要な施設として見なされ、事業所税を支払わなければなりません。

食堂を会社で運営する場合は、原材料の購入費用や水道光熱費などの運営費は課税仕入れとなり、食堂で働く労働者に支払う給与は課税仕入れにはなりません。

まとめ

福利厚生費は、全労働者が平等に利用でき、常識の範囲内の金額である場合に限り、非課税となります。福利厚生費として取り扱えるか否かの細かなルールは国税庁ホームページで公開されているので、判断に迷ったら確認すると良いでしょう。

また、福利厚生施設は業務で使用する場合があれば、福利厚生施設として取り扱うことができません。食堂で定期的に会議を行う場合や、業務上が仮眠が必須な場合の仮眠室などは事業所税を支払わなければいけないので注意が必要です。

(画像はphoto ACより)

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