社員が転勤を拒否!これって正当なの?拒否された場合の手続きは?
人手不足の解消や社員のスキルアップのため、あるいは顧客との不必要な癒着防止などを目的に行われる転勤。転勤は生活に影響を及ぼすことが多いため、社員の負担となってしまう場合も少なくありません。
もしも社員が転勤命令を拒否した場合はどうなるのでしょうか?今回は、転勤命令を拒否した社員への対応や、社員が転勤を拒否できる条件について解説します。
転勤命令を拒否した社員には懲戒処分が科される
転勤命令の拒否は会社の業務や利益を損ない、社内の秩序を乱す行為にあたります。そのため、転勤命令を拒否した社員には、出勤停止や解雇など重い懲戒処分が科される場合が多いです。
懲戒処分はあくまで最終手段です。トラブルに発展しやすいため、処分を行う前には、よく社員の話を聞き、説得に努めなくてはなりません。
社員が転勤命令を拒否できる3つの条件
転勤命令は原則拒否できず、拒否した場合は懲戒処分が科されますが、以下の3つの条件にあてはまる場合は、拒否できる可能性があります。
・雇用契約の内容に反している
・転勤が難しい家庭環境
・不当な理由での転勤
雇用契約の内容に反している
まず雇用契約書に、地域限定職であることや転勤がないことが記載されている場合は、転勤を拒否できます。労働基準法第15条に、事実と異なる労働条件を雇用契約書に記載してはならないことが明記されているからです。
また、労働契約書に転勤についての記載がなくても、面接時「転勤がない」と言われた証拠(録音など)があれば、転勤を拒否できる場合もあります。
転勤が難しい家庭環境
家庭環境の問題でどうしても転勤できない場合は、転勤を拒否できる可能性があります。転勤の拒否が認められる家庭環境の例として以下の3つがあげられます。
・介護が必要な家族がおり、転勤すると介護ができなくなってしまう場合
・病気で病院に通っている家族がいるが、転勤をすると治療が難しくなってしまう場合
・転勤により育児に支障が出てしまう場合
前述の条件にあてはまるからと言って、100%転勤を拒否できる訳ではありません。実際、育児を理由に転勤を拒否した女性が解雇され、訴訟を起こしたにも関わらず棄却された事例があります。
そのためやむを得ない家庭の事情があり、転勤命令を受理できない場合は、上司や人事部に早めに相談しておく必要があります。
不当な理由での転勤
最後に、理由が不当である転勤も拒否できる可能性があります。正当な理由のない転勤は、権利の濫用にあたるからです。
不当な理由での転勤とは、業務に関係のない私的な理由で行われる転勤命令のことを指します。これに該当する場合は拒否しても懲戒処分が科されない可能性が高いです。
労働契約法第16条によると、懲戒処分は客観的に見て合理的な理由がない場合は無効となることが記載されています。明らかに嫌がらせや差別、上司の私的な事情による転勤命令である場合は、証拠を十分に残したうえで弁護士や労働組合に相談しましょう。
まとめ
生活環境や人間関係が一新されるため、場合によっては社員の負担となってしまう転勤。もしも社員に転勤を拒否された場合は、どうすれば良いのでしょうか?今回は、転勤を社員が拒否した場合の対処方法について解説しました。
社員は家庭環境や雇用契約によっては、転勤を拒否できる可能性があります。特に重大な理由がないにも関わらず転勤を拒否した社員には、出勤停止や解雇などの処分が科されますが、懲戒処分はトラブルに発展することも多いです。そのため、社員が転勤を拒否した場合は、慎重に話し合い社員を説得することをおすすめします。
(画像はぱくたそより)