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復職率がアップ!休業していた社員をサポートする職場復帰支援のポイントとは

休職者の発生は他人事ではない

日本では、多くの労働者が、がんや心の病気などの治療に専念するために長期間の休業を余儀なくされています。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が平成25年6月24日に発表した「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」によると、過去3年間で半数の企業に休職者が発生しており、病気休職制度を新規で利用した人数の平均値は2.88人となっています。

休職者を支える病気休職制度ですが、復職率の平均値は51.9%
にとどまり、退職を選択する社員も少なくないのが現状です。大企業にとっても中小企業にとっても休職者の発生は他人事ではなく、直近で直面する可能性がある深刻な問題となっています(参考:メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査)。

では、休業していた社員が円滑に職場に復帰するためには何が必要なのでしょうか。今回は休業していた社員をサポートする職場復帰支援のポイントを整理していきます。

職場復帰支援マニュアルを作成する

社員が安心して休業し、復職を目指すためには休業から復職までの流れが整理されていることが重要です。そのため、各企業は休業から復職までのステップをまとめ、誰がどのタイミングで何をするかをマニュアル化する必要があります。

ここでは、独立行政法人 労働者健康安全機構が公開している「職場復帰支援にかかるモデルプログラム」を参考に、休業から復職までの流れを整理していきます。

休業の開始

社員から所属長に休業の申し出があった場合、所属長は本人または家族に診断書等を提出してもらうように依頼します。診断書には休業期間が明示されていることが大切です。

所属長は診断書を受けとったら人事担当に連携します。休業報告は担当者から社員本人に行い、家族にも休業に関する説明を一緒に聞いてもらうことが推奨されます。所属長と担当者は連絡を取り合い、情報を共有することが重要です。

休業中のサポート

担当者は休業者の体調に配慮しながら、毎月1回程度、連絡をとってつながりを維持するようにしましょう。担当者は現状を把握したうえで、所属長や人事担当者、家族と連携することも大切です。必要に応じて主治医やかかりつけ医療機関等とも相談し、良好な関係を築くように努めます。

休業者には、休業期間の前半は治療に専念してゆっくり過ごし、
後半は職場復帰を目指して生活リズムを整えるように指導しておくと良いでしょう。

職場復帰の判断と支援プランの作成

休業者から職場復帰したいとの申し出があった場合、必ず主治医による「復帰可能である診断書」を提出してもらうようにします。担当者は現状を把握するため休業者と面談を行い、必要に応じて家族からヒアリングしたり、主治医に同行受診したりします。

担当者は主治医や所属長などと情報交換しながら、職場復帰の可否を判断し、職場復帰支援プランを作成します。この際、個々に合わせた無理のないプランになるように考慮し、再発を防ぐことが大切です。

勤務時間は徐々に増やしていくことを基本とし、場合によっては「試し出勤制度」を活用しても良いでしょう。「試し出勤制度」は労働基準法、労災保険法、健康保険法を遵守している必要があります。詳細なルールは事前に明確にしておくことが重要です(参考:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳)。

職場復帰後のサポート

休業していた社員が復帰した場合、通常勤務から6ヶ月間はフォローアップするようにしましょう。担当者や所属長は本人と定期的に面談し状況を確認、必要に応じて関係者と連携をとるようにします。

まとめ

社員が安心して休業し、円滑に復職するためには、休業から復職までの流れが整理されていて、かつ企業と共有されていることが大切です。職場復帰支援マニュアルを作成していない企業は、万が一の場合に備え、早急に作成することが推奨されます。

また、再発を防ぐためには、個々にあった職場復帰支援プランを作成することも大切です。関係者が連携をとり、無理のないプランで復職をサポートするようにしましょう。

(画像はphoto ACより)

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