増額すべきか、減額すべきか?会社の給料を適切に決める方法は?
適切な給与額の設定は、意外と難しいもの
会社を経営している場合に悩みがちなことの一つに「給与の額をどのようにして設定するか」ということがあります。
高く設定すると良い人材が集まりやすいものの、会社の経費が圧迫される原因となります。その一方で、低く設定すると人材がなかなか集まりにくくなってしまいます。
そこで、給与額を適切に設定する方法についてみていくことにしましょう。
給与を決める場合には法律を遵守する
会社の給与を決める場合に必ず行うべきことは、法律を遵守することです。
守るべき法律としては、最低賃金について定めている「最低賃金法」と、時間外労働について定めている「労働基準法」があげられます。
会社としては従業員のモチベーションを保つためにも、最低賃金以上の給与を設定する必要があります。従業員が給与明細を見たときに納得できる賃金設定を行いたいところです。
そのほか、時間外や休日、深夜に従業員が勤務した場合は、労働基準法に基づいて割増賃金を支払わなければなりません。
昇級、賞与などは就業規則で規定
また、昇級や賞与など、給与の内容について詳しく定めた場合には、その内容を就業規則に明記します。
最低賃金や割増賃金のように、給与に関する最低限のルールが法律で定められているものもありますが、昇級や減給に関する決まりや賞与の額などについては法律では定められていません。
そのため、給与に関する詳細な内容については、社内でそれらの内容を定めたうえで、就業規則にその内容を明記する必要があります。
そのほか、給与に関連したルールを決める場合は「副業を認めるかどうか」ということも就業規則で定めておきたいところです。
政府は働き方改革の一環として副業を推奨していますが、会社によっては「本業に支障が生じるため副業は認めない」という方針を掲げている場合もあるでしょう。
そのような場合は、就業規則において「副業は認めない」という内容を明記しておきます。
業界内の給与の相場を考慮する
そのほか、会社の給与を決めるうえで大切なことは、業界内の給与の相場を考慮する、ということです。
給与を設定する場合、給与額が高すぎると経費が増えるために会社の経営が立ちゆかなくなる場合があります。一方で、給与額が低すぎると従業員が集まりにくくなり、会社の人手不足がなかなか解消しにくくなってしまいます。
そのため、給与設定する場合は高すぎず、そして低すぎない状態にすることがポイントとなりますが、給与額を参考にするなら、業界内の相場を確認しておきましょう。
業界内の他の企業が設定している賃金であれば、設定した給与額が経費として負担になりにくく、なおかつ、応募者としても給与の額が適正に感じやすくなります。
知っておきたい年末調整
会社の給与に関連することとして「年末調整」があります。
年末調整とは、その年の1年間に概算的に納めた税額と、1年間に納めるべきである正しい税額に差が発生した場合に、過不足分を調整するためのものです。
つまり、概算的に納めた税額が多かった場合は、「還付」として戻ってくるほか、納めた税額が少ない場合は追加で納税する必要があります。
従業員の年末調整を行う場合には、従業員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入してもらいます。
年末調整の計算を行う場合は、1年間の給与額を算出し、社会保険料と源泉徴収税を差し引いて給与所得の収入金額を計算します。なお、給与所得の収入金額と給与所得の源泉徴収票の支払金額は一致します。
次に、給与所得の収入金額から給与所得控除額を差し引き、給与所得を算出します。
給与所得を算出したら、基礎控除や扶養控除など、各種の所得控除額を合計し、給与所得から所得控除を差し引いて課税所得を算出します。
課税所得に所得税率を掛けることで、正しい所得税額を算出することができます。
なお、平成30年度税制改正大網により、2020年1月からは源泉所得税が改正されます。
具体的な内容は、給与所得控除が引き下げられ、基礎控除が引き上げられるほか、所得金額調整控除が新たに設けられ、配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直しが行われることです。
給与を定める際に効果的な方法としては、業界内の他社の給与水準を参考にすることがあげられます。経費を抑えつつ良質な人員を確保するためにも、適切な給与の設定を心がけましょう。
(画像は写真ACより)