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企業の総務部が知っておきたい知的財産権~社内報~


ビジネスシーンで気を付けなければいけない知的財産権について、弁理士の井上先生に解説頂きました。
5回にわたり、企業の総務部が気を付けるべき知的財産についてお書き頂いています。
・社内報の作成についての知的財産権法上の注意点(今回)
・新聞記事、新聞のクリッピングについての知的財産権法上の注意点
・ノベルティ作成についての知的財産権法上の注意点
・イベント運営についての知的財産権法上の注意点
・デザインについての知的財産権法上の注意点


 

総務部のお仕事は、経営陣の方々、社内のすべての部署の方々と関係し、非常に重要で、広範囲にわたっています。それゆえ、無意識のうちに知的財産権に絡んだお仕事をしていることがあり、知的財産権との関係において注意すべき点を知っておく必要があります。

社内報の作成についての知的財産権法上の注意点

社内報は社内の情報を共有するためなどに制作されるものですが、第三者の著作物を社内報に利用すると著作権侵害となることがあります。
社内報に利用される著作物には、インタビュー記事、イラスト、地図、写真などが考えられます。たとえば、インターネット上に出回っているインタビュー記事、イラスト、地図、写真などを無断で社内報に載せてしまうと著作権法第21条の複製権侵害となることがあります。また、一部のウェブ・サイトでは著作権フリーとして利用可能な場合もありますが、そのような場合であっても著作者の表示の義務付けが規定されている場合に著作者の表示をしないと著作権法第19条の氏名表示権侵害となることがあり、著作物の一部のカットなどを行うと著作権法第20条の同一性保持権侵害となることがあります。

著作権者は社外に限らず、社内報を発行している会社の社員が著作権者となることもあります。
社員が撮影した写真などをその社員に無断で社内報に載せてしまうと著作権侵害となることがあります。
社内報は冊子の形式で回覧、頒布されることもありますが、現在ではウェブ、CD、DVDなどへの掲載という形式で閲覧可能なものも増えています。そのような場合でも、冊子と同様に第三者の著作物を掲載すると著作物侵害となることがあります。
社内報は私的使用にあたり著作権侵害にはならないのではないかという疑問もあるかもしれませんが、著作権法第30条の私的使用は個人、家庭内など限定的な範囲に限り、社内報は該当しません。また、第三者の著作物であっても社内報に使用する場合引用になるのではないかと言われる方もいらっしゃるかもしれませんが著作権法第32条第1項の引用は批評など正当な範囲内で認められるもので、引用と認められるための条件をクリアする必要があります。一般的には引用とは認められにくいと思われます。

東京UIT国際特許業務法人
弁理士 井上 正


まとめ
・著作権フリーの素材でも著作者の表示の義務付けが規定されている場合がある
・社員が撮影した写真などでも無断使用はNG
・社内報は「私的使用」には該当しない
・社内報に使用する場合でも、第三者の著作物は「引用」とは認められがたい

 
 
 
参考ホームページ
公益財団法人著作権情報センター
https://www.cric.or.jp/index.html
新聞著作権協議会
http://www.ccnp.jp/
一般社団法人日本音楽著作権協会
https://www.jasrac.or.jp/index.html

 

東京UIT国際特許業務法人

東京UIT国際特許業務法人(http://www.uit-patent.or.jp/
3名の異なる専門分野の弁理士によって設立された特許業務法人。
とりわけAIやITといった分野に強く、30年のキャリアの中で多数の案件に携わっている。
その他、意匠や商標にも対応しており、ビジネスにおける様々な知的財産権の問題や事前対策を相談できる事務所である。

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