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【SDGs】社会課題を新規事業へ

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
前身のMDGsは貧困や飢餓の撲滅といった途上国支援がメインでしたが、SDGsでは環境や福祉、技術革新など対象が広くなったことで、より身近な問題となりました。また、政府は企業への積極的な関わりを求めており、経団連が会員企業に対してSDGs目標達成に向けた活動を促すなどしています。
こうした潮流の中で、中小企業はどうSDGsに取り組んでいくのか。中小企業の支援を命題に掲げるコンパッソとして考えてみました。

 中小企業がSDGsに取組む際には、既存のビジネスで行うことがほとんどだと思います。資金力が弱い中小企業が新規でビジネスを始めるのは大変ハードルが高く、リスクも大きいからです。
 しかし、そのハードルを視点を広げた発想で乗越え、時代の潮流をつかみ成功している企業があります。
株式会社良知経営(旧株式会社パスポート・神奈川県川崎市)という今年創立30周年を迎える企業です。
事業内容は、食料品、酒などの小売り、通信販売と食肉の製造加工・飲食などをされています。
この企業が挑戦しているのが自然エネルギーを活用したビジネスです。現在、鹿児島県いちき串木野市で「日本一負荷の少ない工業団地」を目指して太陽光発電の事業を運営されています。平成25年新エネ大賞最高賞である経済産業大臣賞を受賞しました。
日本のエネルギー資源の自給率は大変低く、政府はエネルギー供給の安定化を図るためと、地球温暖化防止の観点から、再生可能エネルギー(再エネ)の普及に力を入れています。2012年には再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づいて固定価格買取制度が設置されました。これにより、電気事業者へ再エネを安定して購入してもらえることになり、再エネ事業は急速に進みました。
しかし、事業開始には太陽光パネルの設置など、大きな資金が必要となります。そのため、事業者のほとんどは大企業という状況です。
ではどうやって株式会社良知経営はこの再エネビジネスを始めたのか。同社は太陽光パネルを設置する地元企業、自治体、学校などから出資金を募り、合同会社を設立しました。企業単体で再エネ事業をするのではなく、地域一体となって取組むというビジネスモデルです。同社創業者で社長の濵田総一郎氏は、再エネ事業を呼び水として、他の事業へ波及させることで将来的に大きな利益を地元に生むことができるといいます。
現在同社は、鹿児島県のほか、宮城県・北海道・新潟県などでも太陽光発電事業を展開しています。更に、今後は地熱を利用した再エネ事業を構想しています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で温泉地は大きなダメージを受けています。地熱発電事業によって、エネルギー事業だけでなく、農業や養殖、レジャー施設などの展開も模索して、そうした地域を元気にしたいと考えているそうです。
濵田氏は社会課題があるところには必ずニーズがあるとおっしゃいます。社会課題を解決し続けていくことが持続可能な経営につながっていくのだと。
 自社の利益追求だけで考えず、地域振興をも視野に入れたことで実現したSDGs事業の事例です。

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