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【SDGs】ブレない経営

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
前身のMDGsは貧困や飢餓の撲滅といった途上国支援がメインでしたが、SDGsでは環境や福祉、技術革新など対象が広くなったことで、より身近な問題となりました。また、政府は企業への積極的な関わりを求めており、経団連が会員企業に対してSDGs目標達成に向けた活動を促すなどしています。
こうした潮流の中で、中小企業はどうSDGsに取り組んでいくのか。中小企業の支援を命題に掲げるコンパッソとして考えてみました。

多くの経営者と仕事をしていて感じることは、ブレないということの重要性です。

これを読んでいる方がもしSDGsへの取組みをこれから考えているのだとしたら、企業の理念や事業目的にブレない取組みを行うべきです。

株式会社日本フードエコロジーセンター(神奈川県相模原市)の事例をご紹介します。
同社は第二回ジャパンSDGsアワードにて、SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞に選ばれました。

食品スーパーや、コンビニ、デパートなどで出る食品残さを液状の養豚飼料に加工し、資源循環を行っています。

日本での食品ロスは年間約612万トン(平成29年度)、そのうちの約半分は事業から出るものです。
この食品を燃焼させる費用は1トンあたり約4~5万円かかるとされています。その費用はほとんど税金で賄われています。

同社代表取締役の高橋巧一氏は幼少期に環境保護活動に関心を持ちます。しかし、環境保護活動を生業にする術が分からず、獣医を目指す事にしたそうです。獣医師でありながら事業家でもある異色の経歴の社長です。

同社のサービスの特徴は、食品廃棄物を液状の飼料に加工することです。
これまでは、水分があると腐敗し易くなるため、乾燥させて使われていました。しかし、乾燥させるには熱エネルギーが必要で、そこには膨大なコストがかかります。
そこで、高橋氏はすでにヨーロッパなどで使われている製法を応用し、乳酸菌を用いて発酵させることで腐敗しにくい安全な飼料を作りました。
その飼料を用いて養豚された豚肉が消費者に渡り、循環が完成します。

1998年に農林水産省の未利用資源の利用推進事業に関わったことがきっかけとなり、液状飼料の事業が始まります。
当時、食品リサイクル事業に関心が高かった小田急グループとともに事業化し、2013年に分社、独立しました。
高橋氏はこの事業を推進する上で、規制緩和や法整備にも力を入れています。食品リサイクル法改正にも大きな貢献をしており、それにより食品ロス低減の加速につながっています。

同社は今後、「サステナブル・ファーム」の実現を考えています。
それは、養豚から、再生可能エネルギーの生成(バイオガス)、農業、食、食育へと繋げる循環システムだそうです。

環境保護を一つの活動で終わらせず、それを軸としてビジネス展開することで、持続可能な環境問題への取組みを実現しています。
企業がSDGsの取組みを考える場合、本来の事業からブレない取組みをすることが成功する要因になると考えます。

<株式会社日本フードエコロジーセンターの工場内部の様子>

続々と残さが入ったコンテナーが運び込まれます。
受取った残さのデータを収集し、食品スーパーやコンビニへ提供しているそうです。
そのデータを基に、食品スーパーやコンビニは生産量や販売量のコントロールができるという事です。

食品スーパーやコンビニなどから毎日送られてくる残さ。 包装用紙などは取り除かれ、食品のみがコンテナーに入れられます。

水分を加えながら細かくしていきます。液状になったものに、乳酸菌を混ぜ、発酵させて飼料を作ります。 栄養成分など細かいデータも収集します。

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