令和2年から 年末調整手続き電子化について
年末調整業務がいよいよペーパーレスに
目次
制度の概要
年末調整の電子化は2007年(平成19年)から扶養控除等申告書、給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書が、2018年(平成30年)から保険料控除申告書及び配偶者控除等申告書が電子での提出可能となりました。しかし、多くの人が申請する保険料控除証明書や住宅ローン控除申告書は紙での提出をしなければいけませんでした。
しかし、平成30年度税制改正により、令和2年分からの年末調整について2020年10月以降は、いよいよこれらの書類も電子で提出ができるようになります。さらに、従業員が保険会社や銀行からの各種証明書を電子データで取得して年末調整申告書データを作成することにより、会社側に電子で提出できるようになります。会社側は、従業員から提出された電子データをシステムに自動で反映し、チェックも不要となり書類保管コストも削減できます。
〔年末調整申告書関係〕
① 扶養控除等申告書
② 配偶者控除等申告書
③ 保険料控除申告書
④ 住宅ローン控除申告書
⑤ 基礎控除申告書(令和2年分から新設)
⑥ 所得金額調整控除申告書(令和2年分から新設)
〔控除証明書等関係〕
⑦ 保険料控除証明書(生命保険料(新・旧)、個人年金保険料(新・旧)、介護医療
保険料及び地震保険料に限ります。)
⑧ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書
⑨ 年末残高等証明書
国税庁:https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/pdf/nencho_faq.pdf (閲覧日2020年9月4日)
年末調整手続きの電子化コンパッソの例
電子化をしたのはいつから?
コンパッソでは2015年12月から年末調整業務の一部電子化をスタートしました。マイナンバー制度の開始にあたり、個人番号を安全に回収、保管する必要があった為に移行を始めました。
これまでとどう変わったか?
それ以前は通常の年末調整の方法です。従業員に紙の扶養控除等申告書を提出してもらい、その内容を給与計算担当者が給与システムに入力し、年末調整作業、源泉徴収票の印刷、封入・配布…という作業を行っていました。
電子化したことで、まず従業員が扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書のシステム入力をするようになりました。これにより給与計算担当者の作業は紙で提出される証明書類を元にシステムに入力された内容を確認するのみとなり、大幅な作業量軽減となります。
また、従業員側も画面指示に従って簡単に入力でき、次年度以降は前年のデータが反映されるため手間が少なく済みます。未入力の項目があれば次の画面に進むことができないなど誤入力を防止する機能もある為、修正などの作業も減少しました。
今年の年末調整からはさらに各種証明書類も電子データで提出してもらうことができる為、より一層年末調整業務の省力化が期待できます。
社員への周知はスムーズにいったか?
社員へは導入時にアカウントを発行し、システムの説明をする必要があります。中には操作が分からない従業員も数名いましたが、大きな混乱は生じませんでした。操作の分かり易さもシステムを選ぶ上で重要なポイントになると感じました。
給与システムは何を選ぶべきか
国税庁が無料のソフトを提供
今回の電子化では、国税庁が無料の「年調ソフト」を提供します。国税庁のホームページからダウンロードして使用できます。マイナポータルとも連携することが出来るようになっています。
システム選びは+αも比較して
国税庁が提供する「年調ソフト」はなんといっても無料で利用できることが最大のメリットと言えます。しかし、企業の事務は年末調整だけではありません。年末調整をして、さらに申告をする必要があります。企業の経理では会計システムを使用しているところがほとんどかと思います。今お使いの会計システムと連携できるかどうか、そこも確認する必要があります。そして、さらには、そのデータをどう生かすことができるかもシステムを選ぶポイントです。システム会社によっては同業他社の平均給与額を出しているところもあります。また、セキュリティも重要です。システム会社がどういったセキュリティで保管し、万が一の時にはどういった対応をしてくれるのかもしっかりと確認しておく必要があります。
もちろん、民間のシステムを利用する場合は利用料がかかります。コストだけを見るのではなく、それによってどの位担当者の業務が合理化できるかも考えてシステム選びをすることをお薦め致します。