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海外口座は国税当局にバレますか?という質問に対して

「海外に口座がある場合に国税当局にばれますか」

という質問があります。

この質問に対し、
金融機関に非居住者として口座がある場合、自動的に情報が他国に渡されるシステムCRS(Common Reporting Standard「共通報告基準」)がありますと回答します。

これは、平成 26 年にOECDにおいて策定された国際基準で租税条約等の情報交換規定に基づいて、非居住者金融口座情報を100超の国・地域がCRS 情報の自動的情報交換に参加し、各国が自国にある外国人の金融資産をその外国人の居住国の税務当局に対して報告しあうものです。

日本人が海外(特定国・地域)に銀行口座を持っていた場合、その年度末の銀行口座の残高情報が、当該国より日本の税務当局へ送られます。なお、このCRSには、アメリカは含まれていません。但し日米租税条約が締結されているため、国税当局からの要請に対して米国から情報が得られるシステムは担保されています。

平成30年の国税庁の発表では、令和2年までに107か国・地域とCRSの報告対象国としていましたが、令和元年12月27日施行の報告対象国一覧表では、令和2年4月30日までに95か国・地域が対象となっており、当初の予定より少なくなっています。いずれにしても149か国・地域との間では、一定の条件に当てはまる場合、自動的に情報交換が行われることになっています。

類似の制度で、FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座コンプライアンス法)にもとづいた金融機関での確認手続きがあります。

このFATCAとは、米国外の銀行口座を利用した租税回避を防ぐための2010年に制定された米国の法律であり、米国居住者で日本に金融口座を持っている場合に、IRS(米国内国歳入庁)に情報が報告されることになっています。これは、米国居住者を対象とする制度ですので、ここでは、割愛します。

基本的には、申告すべきもの、申告しなくてもよいものを見極めて対応すべきとなります。

〔参考ホームページ〕
国税庁:
共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/index.htm
非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(FAQ(報告事項の提供))
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/pdf/faqteikyo.pdf
CRS 情報の自動的情報交換の開始について
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/001.pdf
報告対象国一覧
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/pdf/crs_country.pdf
OECD:
exchange of information CRS by jurisdiction
https://www.oecd.org/tax/automatic-exchange/crs-implementation-and-assistance/crs-by-jurisdiction/

審理部 国際事業部 田中秀和

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