ナレッジ

KNOWLEDGE

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. 税務・会計
  4. 簡易課税制度の事業区分の判断について

簡易課税制度の事業区分の判断について

【簡易課税制度とは】

消費税には、中小事業者の事務負担軽減となる簡易課税制度というものがあります。
「基準期間」(その課税期間の前々年又は前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下で、「簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書」を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができます。

この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。それぞれの事業の課税売上高に対し、第一種事業については90%、第二種事業については80%、第三種事業については70%、第四種事業については60%、第五種事業についは50%、第六種事業については40%のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。なので簡易課税による税額計算では、売上の内容ごとに事業区分を行うこととなるわけですが、この事業区分の選択次第で、税額が多くなったり、少なくなったりします。

【事業区分の判断】

例えば、不動産賃貸業で水道光熱費を別で請求している場合です。ほとんどの方は、この水道光熱費についても、単純にその事業区分を第六種事業と判断しているのではないでしょうか。これは消費税基本通達10-1-14(資産の貸付けに伴う共益費)を根拠として、電気、ガス、水道料等の実費に相当するいわゆる共益費は資産の貸付の事業区分によると判断されているからかと思います。

しかし、この共益費とされる水道光熱費について、請求書を発行して、賃借人に請求している場合も第六種事業に該当するとするのでしょうか。この場合は小売業に該当するのではと思いませんか。
みなし仕入率の適用を受ける第二種事業の小売業は、他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のものをいうとされています。
水道光熱費を支払って(購入して)、その水道光熱費を請求(変更しないで販売)しているのですから、この場合、事業区分は第二種事業に該当することとなります。

なかなか気づくのは難しい事例ですが、その売上の内容によっては判断の難しい事例は結構あることと思います。事業区分の選択次第で税額が変わることに十分注意し、本当にこの事業区分でよいのかを慎重に検討することが非常に大切です。

まとめ

簡易課税制度を利用する場合には、その事業区分の判定に気を付ける。
不動産賃貸業で、共益費の水道光熱費を賃借人に請求している場合、事業区分は第二種事業(小売業)となります。
不明な場合は税理士にご相談下さい。

*国税庁HP;消費税基本通達10-1-14(資産の貸付けに伴う共益費)建物等の資産の貸付けに際し賃貸人がその賃借人から収受する電気、ガス、水道料等の実費に相当するいわゆる共益費は、建物等の資産の貸付けに係る対価に含まれる。

練馬事務所
南 宏一

関連記事