要注意!給付金・助成金の課税関係について
今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、政府は緊急支援策として、様々な経済的政策を打ち出しました。少しでも事業上の影響を軽減するために、各種給付金や助成金(以下、給付金等)を申請された方も多いのではないかと思われます。ただ一方で、法人・個人共に、給付金等の「課税関係」に目を向けないと、税務申告において思わぬ落とし穴になるかもしれません。
まず、個人に支給される給付金で非課税のものについては、新型コロナ税特法※1にその根拠が求められます。この法律に基づくと、皆さんご存知の一律10万円が支給される「特別定額給付金」や子育て世帯への「臨時特別給付金等」は、下記の非課税規定に該当するため、課税されません。
(1)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に鑑み、家計への支援の観点から給付される一定の給付金
(2)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置による児童の属する世帯への経済的な影響の緩和の観点から給付される一定の給付金
しかし、下記に代表される非課税規定に該当しないものについては、所得税(法人で該当するものは法人税)が課税されることになります。なお、消費税法上、課税取引ではありませんので、消費税は課税されません。
【課税対象】
・持続化給付金
・家賃支援給付金
・東京都の感染拡大防止協力金
・雇用調整助成金
・小学校休業等対応助成金,支援金
つまり、これらの給付金等は会計処理の段階で、「収益」として認識・計上し、結果、所得として申告する必要があるのです。そうすると次に問題となるのは、「いつの時点で」収益計上をする必要があるのか、ということです。
今回の新型コロナウイルス緊急経済対策における各種給付金等については、基本的に、給付金の対象と承認されると確定通知が送られます。したがって、給付金自体がまだ入金されていない段階であっても、確定通知があった時点で収益を計上しなければなりません。
もちろん、確定通知より前に、給付金等が着金された場合は、その日をもって収益計上を行う必要があります。
なお、ここで注意したいのは、雇用調整助成金等の「法人が支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために交付を受ける」給付金等については、確定前であっても、その金額を見積もり、益金として申告する必要があります(法人税法上、課税所得となります)※2。
このように、多くが課税対象となる給付金等ですが、意外にも受け取った後の処理については、看過してしまいがちです。思わぬ申告漏れとならぬよう、決算・確定申告前までに今一度しっかりと課税関係を見直すことをお勧め致します。
※1 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律
※2 法人税基本通達2-1-42
横浜青葉事務所 渋谷秀孝