ナレッジ

KNOWLEDGE

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. 相続・贈与
  4. 相続した収益資産を売却する際に使える「事業用資産の買い替え特例」

相続した収益資産を売却する際に使える「事業用資産の買い替え特例」

相続で受け継いだ土地で駐車場やアパート経営などの事業をしている方は多いと思います。代々受け継いだ土地ではありますが、もっと収益を生む場所に変えたいと思い売却を考えたことはないでしょうか?
しかし相続で受け継いだ土地を売却する場合、取得費が少ないため、通常の売却より多額の譲渡税が発生するケースが多くあります。相続がおきて数年後の売却は取得費加算も使えず、この譲渡税がネックになり、売却をためらう方も多くいらっしゃいます。そんな時は 、「事業用資産の買い替え特例」を考えてみるのもいいかもしれません。この特例を使えば、その時に支払う譲渡益の一部に対する税金を少なくすることができます。

この税金を少なくするという意味は、納税額を免除するということではなく、今支払う納税額を将来に繰り延べることができるという意味なので注意が必要です。将来買い換えた資産を売却する時に繰り延べていた納税額を支払う必要があります。

しかし、買い換えた資産を売却するまでは納税額を繰り延べることができるので、より多くの自己資金を買い換え資産の支払いに充当できます。

以下、簡単に要件と繰延金額を記載します(すべての要件はあくまでも概要です)。

<要件>
1 譲渡資産も買換資産も供に事業用資産であること。
2 譲渡資産と買換資産とが一定の組み合わせに当てはまるものであること。
3 買い換える資産が土地の場合には、売る資産の土地の5倍以内であること。
4 資産を譲渡した年か、その前年中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得すること。
5 買換資産を取得した日から1年以内に事業に使うこと。

<金額>
この特例の適用を受けた場合の譲渡所得の金額は、原則として次の算式によって計算します(課税割合が20パーセントの場合)。
(1)譲渡資産の譲渡価額 ≦ 買換資産の取得価額の場合
イ 譲渡資産の譲渡価額×0.2=収入金額
ロ (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×0.2=必要経費
ハ 収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額
(2)譲渡資産の譲渡価額 > 買換資産の取得価額の場合
イ 譲渡資産の譲渡価額-買換資産の取得価額×0.8=収入金額
ロ (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(収入金額÷譲渡資産の譲渡価額)=必要経費
ハ 収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額

例えば相続した駐車場を1億円で売却し、その後1億2,000万円の土地を購入して同じく駐車場として賃貸したとします。この時の1億円の20%の2,000万円の税金がかかってきます(便宜上、取得費や譲渡費用を0円とした場合)。しかし要件を満たせば譲渡益の最大80%繰り延べられるため、約400万円(2,000万円の20% )まで圧縮することができ、譲渡税を1,600万円繰り延べることができます。これが「事業用資産の買い替え特例」です。

この特例の要件等を簡単に記載しましたが、要件はまだ細かく記載されています。詳しくはコンパッソ税理士法人へお問い合わせ下さい。

横浜青葉事務所
久保田 良次

関連記事