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1相続にかかる民法と税法(子及びその代襲者等の相続権)

『相続』と聞くと、相続税を思い浮かべる方、多くいらっしゃるのではないでしょうか。相続税法の中には相続や遺言、遺留分などという言葉がよく聞かれますが、実はこれらの言葉はすべて民法に定められている言葉です。
今回は、折角ですから、相続について民法と税法の関係について確認してみましょう。
今回から全6回連続で掲載します。

相続にかかる民法と税法の関係
第1回 子及びその代襲者等の相続権について

目次

1.民法上の理解

被相続人の子は、実子・養子を問わず、第一順位の相続人になります。他の者の養子になっている者であっても、被相続人の子であれば相続人になります。ただし、他の者の特別養子になった者は相続人ではなくなります。被相続人の子が何らかの理由により相続権を失っている場合は、被相続人の孫が相続人になります。これを代襲相続といい、代襲相続した者を代襲相続人といいます。なお、被相続人と代襲相続人との関係は直系卑属の関係にあることが必要です。

ケース1.被相続人(死亡した者)→ 子(死亡)→孫(代襲相続人となる)
ケース2.被相続人(死亡した者)→ 子(相続放棄)→孫(代襲相続人とならない)
ケース3.被相続人(死亡した者)→ 子(死亡)→孫(死亡)→ひ孫(代襲相続人となる)
ケース4.被相続人(死亡した者)→ 養子(死亡)→養子の連れ子(代襲相続人とならない)

2.税法上の理解

相続税の計算においては、課税価格の合計額から一定の金額を基礎控除として差引くことが認められています。その額は以下の通りです。
3,000万円(定額控除)+600万円×法定相続人の数
また、生命保険金や死亡退職金については、次の金額を非課税枠として当該生命保険金や死亡退職金から差し引くことができます。
500万円×法定相続人の数
 したがって、法定相続人の数が多ければ多いほど、相続税の計算では有利な結果になります。ただし、養子については次の2つの制限が定められており、多数の者と養子縁組することで相続税額を軽減するような相続税対策に対抗する措置が導入されています。

1. 相続税の基礎控除の制限

法定相続人の数について、被相続人に実子がある場合は、養子が2人以上いても1人とし、実子がいない場合には養子が3人以上いても2人として数えます。また、生命保険金と死亡退職金についての非課税枠の計算についても、上記1と同様、養子の数の制限があります。

2. 相続税の2割加算回避の防止

相続によって財産を取得した者が、その相続に係る被相続人の一親等の血族、あるいは配偶者以外の者である場合は、その者について算出された相続税額に対して2割を加算しますが、この規定を逃れようと孫を養子にして一親等の親族にしてしまう場合にも、この養子は相続税の2割加算の対象に含まれます。

注意点

養子が離縁された場合は、その後に元養親が死亡したとしても、元養子はその相続人とはなりません。よって、通常は元養子が元養親の相続税の申告を行うことはありません。しかし、養子であった期間中に、養親から贈与を受け、それについて相続時精算課税を選択していた場合には、元養子にも相続税の申告義務が発生します。相続時精算課税において、元養親(特定贈与者)と元養子(受贈者)との関係は切断する方法がないので注意が必要です。

参考文献等:
国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
関根稔、間瀬まゆ子編著「税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」ぎょうせい

高田馬場事務所 高野 幹子

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