従業員のメンタルヘルスケアの必要性
1、メンタルヘルスケアの必要性
メンタルヘルスとは「心の健康」のことで、「心が健康である」とは、前向きな気持ちを安定的に保ち、意欲的な姿勢で環境に適応することができ、イキイキとした生活を送れる状態のことです。近年、仕事や職場環境への不安や悩みなどでストレスを抱えている人が増加しており、メンタルヘルスの重要性が高まっています。
心の健康づくりを推進するためには、労働者自身がストレスに気づき、これに対応するための知識、方法を身につけ、それを実施することが重要です。ストレスに気づくためには、労働者がストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するとともに、自らのストレスや心の健康状態について正しく認識できるようにする必要があります。
しかし、職場に存在するストレス要因は、労働者自身の力だけでは取り除くことができないものもあることから、労働者の心の健康づくりを推進していくためには、事業者によるメンタルヘルスケアの積極的推進が重要であり、労働の場における組織的かつ計画的な対策の実施は、大きな役割を果たします。
2、ストレス
ストレスとは、歪みを生じされる刺激を「ストレス要因(ストレッサー)」、歪んだ状態を「ストレス反応」と言います。例えば、ストレス要因は”仕事”、ストレス反応は”気分が落ち込む、胃が痛くなる”などです。ストレス反応の現れ方は、人によって相違がありますが、大きくわけて3つあり、心理的側面である”気持ちが落ち込む、悲しくなる、イライラする”、身体的側面である”胃が痛い、頭が痛い”、行動的側面である”遅刻が多くなる、ミスが多くなる”などがあり、行動的側面になると周りの人が気づくレベルになっているため、注意が必要です。
3、ストレスの捉え方
感情や行動は、そのことが起きた時に浮かんだ「考え(認知)」から導き出されます。認知のクセには主に5パターンあり、それぞれのクセに対応する方法は以下のとおりです。ストレスゼロを目指すのではなく、減れば良しと考えることが理想的です。
<認知のクセ5パターン>
ⅰ)決めつけ型(理想論型)
・「きっとそうだ」、「絶対」と根拠が不十分なのに、決めつけてしまう
・「〇すべきだ」などと、自分の行動を制限する
・相手に自分の考えを押しつけたり行動を求める
⇒思い込みを正す(本当にそうか?現実的にそうか?根拠は?)
ⅱ)とらわれ型(不安増殖型)
・相手の気持ちを一方的に推測して、悪い方にとってしまう
・何にであっても「自分のせいだ・・・」と考えて自分を責めてしまう
・一度失敗すると他の全てもうまくいかないと思ってしまう
⇒自分と現実を分ける(思い過ごしでは?起こらないためにどうしたら良いか)
ⅲ)見えない型(視野狭窄型)
・現状整理ができず、解決策が浮かばない
・あいまいな状況に耐えられず、ものごとを白か黒か極端に捉えてしまう
・どうせできない、自分には無理だと選択肢を削ってしまう
⇒選択肢を広げる(行動の選択肢を8つくらい増やしてみる)
ⅳ)選べない型(混乱型)
・どの選択肢も選ぶことが出来ず悩み続けてしまう
・その時々の感情で選んで、後から悔やんでしまう
・選ぶ自己基準が明確でなく、いつまでも結論がでない
⇒客観的に選ぶ(優先順位を決める、時間・費用・労力が少ないものから選ぶ)
ⅴ)動けない型(不実行型)
・やるべきことは分かっているけれど、失敗が怖くて動けない
・否定的な結果を予想して、その通りになってしまう
・過去の失敗を引きずり、同じ結果になると思ってしまう
・周りからの評価が気になりすぎる
⇒具体的に動く(実行しやすいものを1つやってみる、とりあえずやってみる)
組織としてメンタルヘルスケアに取り組む事で、労働者の心身の健康が保たれ、生産性の向上、リスクマネジメント、企業のイメージアップ、退職者や休職者によるコスト削減などが期待できると思い紹介させていただきました。
出典元:株式会社キャリアコレクション 代表取締役 水野順子 セミナー資料より
渋谷事務所 海保結城