2021年度に向けた働き方改革推進支援助成金の活用
2020年は新型コロナウイルスにより、これまでにない新しい生活様式を求められ、日常生活は基より私たちの働き方にも大きな影響を及ぼしました。今まで事務所に来るのが当たり前であった人たちでさえ、在宅勤務によるテレワーク(リモートワーク)を行うようになり、政府が推進していた働き方改革を一気に押し上げるものとなったのではないでしょうか。政府としましても、テレワーク推進のための助成金を用意しており、2020年度のテレワーク助成金の募集は4月1日から受付が始まりましたが、8月12日には申請多数で終了しており、コロナを機に多くの企業様が助成金の活用を行ったと考えられます。
恐らく来年度も同様の助成金の募集がある可能性が高いため、今年度の助成金の内容についての確認を行い、活用方法についてもご紹介させていただきます。
今回の助成金は、厚生労働省から案内がありました「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」(以下、通常版)です。こちらは「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワーク助成金」(以下、コロナ版)もございますが、助成金の補助率が通常版が1/2~3/4に対し、コロナ版では1/2であること、また、コロナ版はテレワークの新規導入に取組む事業者のみが対象であることから、今回は通常版についてのご紹介とさせていただきます。
① 助成金の対象者
(1) 労働者災害補償保険の適用事業主であること
(2) 次のいずれかに該当する事業主であること
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
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小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
(3) テレワークを新規で導入する事業主であること(※1)、又は、テレワークを継続して活用する事業主であること(※2)
※1 試行的に導入している事業主も対象
※2 過去に本助成金を受給した事業主は、対象労働者を2倍にしてテレワークに取組む場合に、2回まで受給が可能
② 助成金の支給対象について
テレワーク用通信機器(※)の導入・運用 (例)・シンクライアント端末(パソコン等) ・VPN装置 ・web会議用機器 ・社内のパソコンを沿革操作するための機器、ソフトウェア ・保守サポートの導入 ・クラウドサービスの導入 ・サテライトオフィス等の利用料 など ※シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの導入費用は対象となりません。 |
就業規則・労使協定等の作成・変更 (例)テレワーク勤務に関する規定の整備 |
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労務管理担当者に対する研修 | |
労務者に対する研修、周知、啓発 | 外部専門家(社会保険労務士など)による導入のためのコンサルティング |
※シンクライアント端末のパソコンとは、ハードディスク装置を持たず、ファイルやソフトを端末内に保存しないパソコン型機器で、ネットワーク経由でサーバに接続し、サーバ側のソフトウェアやデータを扱う端末です。
③ 助成額について
助成額 |
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対象経費の合計額×補助率 (上限額を超える場合は上限額※) ※「1人当たりの上限額」×対象労働者数 又は 「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額 |
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
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補助率 | 3/4 | 1/2 |
1人当たりの上限額 | 40万円 | 20万円 |
1企業当たりの上限額 | 300万円 | 200万円 |
④ 助成額に関わる成果目標について
① | 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる |
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② | 評価期間において、対象労働者が在宅またはサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とする |
繰り返しになりますが、今回ご紹介しているテレワーク助成金(通常版)は、申請多数のため終了しております(2020年10月時点)。しかし、来年度にまた同じ助成金があった場合、皆様はどのような活用をされるでしょうか。
2020年助成金のポイントとしましては、パソコン、タブレット等の購入費用は助成金の対象外となっていることです。もちろん、WEB会議用機器、クラウドサービスの導入や、サテライトオフィス等の利用料に使用する方もいらっしゃると思いますが、今後も継続的に費用が発生するものに関しては、評価期間(最大6ヶ月)の間のみの経費が対象となります。お試しでやるのは良いですが、その後のコストがかかるものを購入される際には注意が必要です。そのため、物を買うのではなく、外部専門家(社会保険労務士など)によるテレワーク導入のためのコンサルティングを活用されるのはいかがでしょうか。今一度考えてみていただきたいのですが、皆様の会社の就業規則、労使協定等は在宅勤務やリモートワークにしっかりと対応したものとなっているでしょうか。在宅勤務を始めた職員の方々の勤怠管理や、今まで思いもしなかった問題が発生していないでしょうか。思ったよりも社内のテレワーク化が進んでいないのであれば、必要な物が不足しているからなのか、テレワーク制度を行うための社内システムがしっかりと構築され、職員の皆様への周知ができていないからなのか、一度社内状況を調査してみることも重要かと思われます。大切な職員の皆様を感染リスクから少しでも守るためにも、2021年もテレワークを積極的にご活用いただければ幸いです。
参考HP
厚生労働省(働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)2020年10月1日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html
横浜青葉事務所 伊藤 瞬