企業の総務部が知っておきたい知的財産権~イベント運営~
ビジネスシーンで気を付けなければいけない知的財産権について、弁理士の井上先生に解説頂きました。
5回にわたり、企業の総務部が気を付けるべき知的財産についてお書き頂いています。
・社内報の作成についての知的財産権法上の注意点
・新聞記事、新聞のクリッピングについての知的財産権法上の注意点
・ノベルティ作成についての知的財産権法上の注意点
・イベント運営についての知的財産権法上の注意点(今回)
・デザインについての知的財産権法上の注意点
総務部のお仕事は、経営陣の方々、社内のすべての部署の方々と関係し、非常に重要で、広範囲にわたっています。それゆえ、無意識のうちに知的財産権に絡んだお仕事をしていることがあり、知的財産権との関係において注意すべき点を知っておく必要があります。
イベント運営についての知的財産権法上の注意点
セミナー、博覧会などの各種イベントではオープニング動画が上映されることがありますが、このオープニング動画は著作権法第2条第3項の映画の著作物に該当することが多いと思われます。
オープニング動画をビデオ制作会社に依頼した場合にはビデオ制作会社が著作権者となることが多く、その場合にはオープニング動画の上映についてはビデオ制作会社から許諾を受ける必要があります。ビデオ制作会社との間で著作権譲渡契約を行っておく必要があると思います。
また、各種イベントにおいて市販CDなどの音楽をBGMとして流す場合には、著作権者に許諾を得ずに行うと原則として著作権法第22条の演奏権侵害となる可能性があります。もちろん、CDから複製した録音物をBGMとして流す行為も同様です。
但し、著作権の保護期間が消滅した曲などについての利用許諾は不要となりますし、イベントの種類などにより許諾の内容が変わる可能性がありますので詳細に検討する必要があります。
東京UIT国際特許業務法人
弁理士 井上 正
・オープニング動画を制作会社に依頼した場合、制作会社と著作権譲渡契約を行っておく必要がある
・イベントで使用する市販CDなどのBGMは著作権者に許諾を得る必要がある
・著作権の保護期間が消滅した曲については利用許諾は不要
・イベントの種類によってBGMの許諾の内容が変わる可能性がある
参考ホームページ
公益財団法人著作権情報センター
https://www.cric.or.jp/index.html
新聞著作権協議会
http://www.ccnp.jp/
一般社団法人日本音楽著作権協会
https://www.jasrac.or.jp/index.html
東京UIT国際特許業務法人(http://www.uit-patent.or.jp/)
3名の異なる専門分野の弁理士によって設立された特許業務法人。
とりわけAIやITといった分野に強く、30年のキャリアの中で多数の案件に携わっている。
その他、意匠や商標にも対応しており、ビジネスにおける様々な知的財産権の問題や事前対策を相談できる事務所である。