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社会保険労務士<事務所通信’20/1月>

「心の病」は10~40 代で共通課題

◆10 代~20 代では初めて3割超
日本生産性本部のアンケート調査によると、「心の病」の多い年齢層が10 代~20 代、30 代、40 代の各区分で約30%ずつを占め、50 代を除き、10 代から40 代で共通の課題となっていることがわかりました。
また、10 代~20 代での割合は増加し、初めて3割を超えています。
◆割を食っている40 代?
調査結果を見ると、10 年ほど前の調査では、30 代が6割前後を占めていたので、そのころの30 代が40 代になってもメンタルヘルスの問題が持ち越されているように見えます。
一方、10 代~20 代については10 年ほど前のおよそ2倍超となっています。
現在の40 代には就職氷河期世代に該当する人たちがいます。“割を食っている世代”でもあり、年功制の崩壊とともに役割・権限の変化のなさ、人手不足と働き方改革等による現場への重圧といった要因もあり、心の病の増減について「横ばい」との回答が減少し、「増加傾向」が増えている調査結果もうなずけるものがあります。
◆ストレスチェックの課題
また、この調査では、ストレスチェックについての課題として、「集団分析結果の活かし方」を挙げている企業が3分の2を占めています。集団分析の結果を報告しても、あとの対応は個人任せとなっている状態では、効果的とは言えないでしょう。
ストレスチェックを外部に委託する場合、見やすく活用しやすい結果をもらえる業者を選んだり、結果の経年変化も作成できるか、といった気を付けるべき点があります。
◆50 代はメンタルヘルス以外の問題も多い
なお、この調査では50 代の心の病は多くないとの結果が出ています。しかし、40 代後半から50 代にかけては親の介護や本人の健康問題などが多発してくる年代です。厚生労働省の調査でも、心筋梗塞や脳卒中は50 代から急増するとされています。
現時点では、来年の東京オリンピックを前にした景気の良いイメージがまだあるようですが、景気減速のサインがちらほら出てきてもいるようです。
社員の健康リスクは経営リスクとなるという認識も広まり、積極的に対策をとる企業が増えています。景気が冷え込んだ際に心の病まで増加しないよう、組織風土や仕事の見直しにより、長時間労働の抑制や健康経営の推進に取り組む必要があります。
健康あっての仕事です。
【 日本生産性本部「第9回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」】
https://activity.jpcnet.jp/detail/mhr/activity001577/attached.pdf

健康保険の被扶養者に国内居住要件が求められます

外国人労働者の受入れ拡大に伴い、2020年4月1日から健康保険法の被扶養者にも国内居住要件が求められることになりました。外国人労働者の母国に残された家族の疾病、負傷などについても日本の健康保険で給付を行うことになれば、保険財政を圧迫するからです。被扶養者として認められるには、原則として、日本国内に住所を有することが要件ですが、外国にいても被扶養者として認められる者や日本国内にいても被扶養者から除外される者など一定の例外がありますので、そこを整理します。
◆法律の条文(改正後の健康保険法第3条7項)
この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(※1)をいう。
ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者(※2)は、この限りでない。
1号~4号 略
◆日本国内に住所を有しないが、例外的に被扶養者と認められる者
上記※1の「渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」とは、下記の人たちをいいます。
① 外国において留学をする学生
② 日本からの海外赴任に同行する家族
③ 海外赴任中の身分関係の変更により新たな同行家族とみなすことができる者(海外赴
任中に生まれた被保険者の子ども、海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者など)
④ 観光・保養やボランティアなど就労以外の目的で一時的に日本から海外に渡航している者(ワーキングホリデー、青年海外協力隊など)
⑤ その他日本に生活の基礎があると認められる特別な事情があるとして保険者が判断する者
◆日本国内に住所を有するが、例外的に被扶養者と認められない者
上記※2の「この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」とは、下記の人たちをいいます。
① 「医療滞在ビザ」で来日した者。医療滞在ビザとは、日本において治療等を受けることを目的として訪日する外国人患者等(人間ドックの受診者等を含む)及び同伴者に対し発給されるものです。
② 「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で来日した者(富裕層を対象とした最長1年のビザ)
なお、国民年金の第3号被保険者についても、健康保険と同じ2020 年4月1日から国内居住要件が求められますが、その要件は上記※1、※2と同様に判定されます。第1号被保険者については、従来から国内居住要件がある一方で、国内にいても被保険者から除外される例外規定が新設されましたが、それは上記※2と同様に判定されます。
障害者向けにスタートした「就労パスポート」
◆「就労パスポート」とは?
厚生労働省は、障害のある方の就職や職場定着を図るための情報共有ツールとして「就労パスポート」を作成・公開しました。
就労パスポートは、主に精神障害、発達障害、高次機能障害のある方(それ以外の障害のある方も活用が可能)を対象に、仕事をする際の自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などを支援機関と一緒に整理しながら作成するものです。企業は、障害のある方の採用選考時(必須提出書類ではない)や採用後に自分の特徴を職場の上司や同僚などに説明する際に活用できます。また、本人の障害理解や支援機関同士での情報連携等を進めるとともに、企業の障害理解、職場環境整備の促進、支援機関との情報共有にも活用できるとしています。
同省は今後、就労パスポートの普及のために支援機関と企業を対象に活用方法に関するセミナーを全国で開催するとしています。
◆記載できる項目
就労パスポートの様式、活用の手引き、活用ガイドラインは、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。様式はExcel ファイルで作成され、次の項目について記載できます。
3
1 職務経験
2 仕事上のアピールポイント、
3 体調管理と希望する働き方
4 コミュニケーション面
5 作業遂行面
6 就職後の自己チェック
7 (参考)支援機関
◆内容の更新と情報の取扱いについて
就労パスポートは、内容を更新することができます。更新のタイミングとして、「職場定着上の課題が生じ、それを解決した時。または、課題の発生を防ぐための工夫を実践し効果が見られた時」や「本人のストレス対処やコミュニケーション、作業遂行などに関するスキルの向上が見られた時」に、本人からの希望と周囲が必要性を感じる場合が想定されます。そして、本人と企業の担当者、支援機関の三者が更新内容について話し合いの上、決定します。
また、更新した就労パスポートの写しの保管・共有と更新前の就労パスポートの写しの回収・廃棄または保管・共有については、本人の意向を尊重して取扱う必要があります。就労パスポートは個人情報として取り扱われるため、情報共有利用目的、その範囲について本人に説明し同意を得る必要があります。参考様式として、「就労パスポートの情報取得と情報共有に関する同意書」が前述の厚生労働省ホームページの「事業者向けガイドライン」内に掲載されています。
【厚生労働省「就労パスポート」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06d_00003.html

1 月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]

10 日
○ 源泉徴収税額(※)・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
※ただし、6ヶ月ごとの納付の特例を受けている場合には、令和元年7 月から12 月までの徴収分を1 月20 日までに納付
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
31 日
○ 法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]
○ 給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]
○ 固定資産税の償却資産に関する申告[市区町村]
○ 個人の道府県民税・市町村民税の納付<第4期分>[郵便局または銀行]
○ 労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、10 月~12 月分>[労働基準監督署]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
○ 労働保険料納付<延納第3 期分>
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○ 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
○ 固定資産税に係る住宅用地の申告[市区町村]本年最初の給料の支払を受ける日の前日まで
○ 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]
○ 本年分所得税源泉徴収簿の書換え[給与の支払者]

当事務所よりひと言

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
いよいよオリンピックイヤーが幕を開けました。オリンピックばかり注目されますが、酷暑の時期と比べると暑さが多少和らぐ8月末からパラリンピックも始まります。人手不足の中、業務にもよりますが、障害者の雇用は一つの解決策となり得ます。また、障害者の法定雇用率もさらなる引き上げが決まっています。障害者雇用について、一度考えてはいかがでしょうか。

(今号の担当:田中 穣)

コンパッソ社会保険労務士法人
連絡先:〒211-0063川崎市中原区小杉町1-403-10-104
電 話 :044-733-8748
F A X :044-733-1266

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