倒産確率とは
昨年5月のコロナ危機の最中、株式会社星野リゾートの星野代表が社内ブログで「わが社の倒産確率は30%」と書き込んだことは世間を驚かせました。「売り上げの対昨年比」「コスト削減量」「資金調達」の3項目を組み合わせて考えられる27パターンそれぞれについての倒産確率を算出し、社員に公表したそうです。
代表自らが考え作成した数理モデルであり、本人曰く「1つのお遊び」ですが、社内に情報発信をすることで危機意識を共有したのです。今でも倒産確率は定期的に投稿しているそうです。
倒産確率とは、企業が1年以内に倒産する確率を数値化した、取引先の与信管理に用いられる指標です。
定型的な計算式はありませんが、国内大手信用調査会社である帝国データバンクでは、企業を評価するリスク指標について、さまざまな視点から総合的に評価した「評点」と、調査報告書から統計的な手法によって算出された倒産するリスクのみを表す「倒産予測値」があるとし、以下の通り定義しています。
「倒産予測値」は、帝国データバンクの信用調査と情報取材ネットワークにより蓄積した膨大な企業情報データベースをもとに、医学・薬学でも使われる統計的な手法で計算されていますので、全て確率で表現されます。
確率を考える場合、例えば降水確率で言えば50%あたりを基準と考えて、「80%だから、雨が降りそう」「20%だから、雨は降らないだろう」と言ったりしますが、「倒産予測値」では、統計モデル構築時の0.391%(統計モデル構築時の倒産発生率)を基準にして考えます。例えば、モデル構築時の平均倒産発生率が0.391%で、「倒産予測値」1.5%の企業があれば、その企業は平均的企業の「倒産予測値」0.391%と比べて、3倍以上倒産するリスクを持つ「大変危ない企業」と言えます。
コロナ禍における様々な金融支援の結果、景況感が悪化しているにも関わらず倒産件数が増えていない現状があります。しかしながら、この数値は必ずしも実体経済を反映しないものであり、倒産予備軍は確実に増えていると認識して取引先の与信管理を徹底しなければなりません。
参考:帝国データバンク(TDB)HP ビジネス講座「これから始める与信管理」
https://www.tdb.co.jp/knowledge/yoshin/18.html
渋谷事務所 樫村邦彦
本社(渋谷事務所)