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経歴詐称が発覚したら?経歴詐称のパターンや解雇対象となるものをご紹介

会社の求人に対し、採用を切望している応募者は、自らの経歴や資格を最大限にアピールしてきます。

採用担当者が応募者を選考する場合、学歴や職歴、資格やスキルを基準に採用の可否を決めます。しかし、残念ながら中には経歴を詐称してくる応募者がいることも事実です。

今回は経歴詐称について、発覚するパターンや発覚したときに解雇対象となるケースなどをご紹介します。

経歴詐称はばれるのか

応募者は経歴詐称をしていることが、まさかばれることはないだろうと思って履歴書を提出しています。

しかし選考が進むにつれ、面接や面談の際に、履歴書の経歴や勤務期間と話す内容に矛盾が生じることがあります。また、専門職であれば経験年数やこれまでの実績、在籍していた会社の概要などからスキル面で明らかに経験や知識不足を感じる部分が出てくるはずです。

昨今はインターネットの普及により、知識や経験がなくても、専門的な知識を得ることが可能です。そこで多くの企業がリファレンスチェックを導入しています。リファレンスチェックにより、経歴詐称をしていることが発覚する可能性が極めて高くなります。

また、仮に履歴書や面接で経歴詐称が発覚しなかったとしても、入社後の社会保険や雇用保険の履歴で発覚することもあります。

経歴詐称のパターン

学歴詐称
学歴詐称は高卒であるにも関わらず、大卒と詐称するものの他にも、大卒なのに高卒と名乗る「逆詐称」という場合もあります。逆詐称は高卒のみの募集に応募したいことが詐称の理由であることが挙げられます。

その他、学校名や学部の詐称、留年や浪人、中退などについてを詐称するケースもあります。

職歴詐称
中途採用の場合に、これまでの職歴や勤務していた期間、もらっていた給与などを偽った場合、職歴詐称になります。また有していない資格やスキルを詐称することもいけません。

これらの職歴やスキルは、今後の給与や役職、人員配置に影響することもあり、入社後に詐称が発覚した場合、会社にとって大きなダメージにつながります。

詐称に該当するものは、勤務年数や実際には勤務していない会社名を申告することの他にも、正社員や派遣社員などの雇用形態、役職に関して偽ることも詐称とされます。

犯罪歴詐称
過去には、犯罪歴を詐称して懲戒解雇になった判例もありました(炭研精工事件・最高裁平成3年9月19日判決)。判例にあるように、過去に犯罪歴がある場合、応募者はこれまでの犯罪歴を問われた場合は正しく申告しなければなりません。

しかし、犯罪歴として申告できるのは「有罪判決が確定」されたものに限ります。逮捕や不起訴処分は含みません。また、刑の執行から10年以上経過していたり、執行猶予期間が終了していたりする場合も、過去の犯罪歴として申告する必要はありません。

経歴詐称が発覚した場合

懲戒解雇
経歴詐称があった場合、懲戒解雇とするという会社の規定がある場合は、解雇処分を下すことができます。懲戒解雇の場合は、原則退職金を支払う必要がありません。これらの場合、就業規則に経歴詐称について明確に記載されている場合に限り有効です。

また募集要項において、学歴や資格の有無の記載がない場合、「学歴不問」「経験不問」と記載していた場合は、仮に経歴詐称が発覚しても「重大な経歴詐称」とならないため、募集要項の記載にも気をつけましょう。

しかし、解雇が正当だと認められるのは、採用前に経歴詐称の事実が明らかになった場合は、採用しなかったという場合や会社にとって大きなダメージとなる重大な詐称である場合です。

損害賠償
過去には、経歴詐称が発覚し、該当社員を解雇した他、会社側が損害賠償請求をした判例もあります(KPIソリューションズ事件 東京地裁 平成27.6.2)。この判例では、実際に業務を遂行する能力を持ち合わせていないにも関わらず、能力があることを根拠に、給与の引き上げを要求した増額分についての損害賠償請求が認められました。

業務を行う上で必要な資格やスキルを詐称したことで、会社に大きな不利益を与えた場合、損害賠償請求ができる可能性もあります。

犯罪となる可能性
経歴詐称が罪となる可能性は低いですが、職種や経歴詐称の内容によっては犯罪となる場合もあります。

例を挙げると、人を欺いて金品などをだまし取ったり、本来支払うべき代金を免れたりした場合は詐欺罪となります。経歴詐称においては、経歴や資格に対しての対価として賃金を支払っていた場合は詐欺罪となる可能性があります。

また、履歴書に偽名を使用したり、卒業証明書や資格取得証明書の偽造を行ったりした場合は私文書偽造にあたります。さらに資格取得証明書が免許証などの公務で作成された場合は、公文書偽造罪にあたります。

まとめ

経歴詐称を行う人たちの全てが、悪意をもって故意に行うものとは限りません。中には記憶が曖昧がために間違えてしまった、申告するべき経歴だと思わなかったという理由も含まれます。悪意があったり故意的に行った経歴詐称であったりするかどうかは、そのあとの面談や面接での指摘により把握することができます。間違いや経歴に対する相違を応募者が素直に認めるのであれば、悪意はないと判断することも可能です。

しかし履歴書の間違いが多すぎる場合や、明らかに偽っていると判断される場合、入社後の業務に支障をきたしたり、会社は大きな損害を被ったりすることも予想されます。会社や在籍している従業員を守るためにも、採用担当者や使用者は応募者を見極めることで事前に防ぐことも可能です。見極めが困難である場合、リファレンスチェックを行うこともできます。

万が一、入社後に経歴詐称が発覚した場合、一度崩れてしまった信頼関係を取り戻すことは容易ではなく、また他の従業員への配慮も必要になります。経歴詐称の内容や業務との関連性を踏まえ、適切な処分を下しましょう。

(画像は写真ACより)

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