新入社員のボーナスは支給すべきなの?
ボーナスは日々の実績を元に支給されますが、入社してまだ日が浅く実績の少ない新入社員に対しても支給するべきなのでしょうか。今回は、新入社員にもボーナスを支給するべきなのか、支給する場合の相場はいくらなのかについてご紹介します。
ボーナスを支給する義務はない
ボーナスとは報奨金や賞与のことを指し、ほとんどの場合、夏と冬の2回にわたって支給されます。企業はそもそも社員にボーナスを支給する「義務」がある訳ではありません。ボーナスを支払わなくてはならない、という法律は存在しないからです。
ではなぜ、ほとんどの企業でボーナスが支給されるのでしょうか。結論から言うと、日本ではお盆や年末など出費がかさむ夏と冬に、企業が社員の生活を保障するという意味合いで支払われているようです。
夏のボーナスを新入社員に支給するべきか
日本の人事労務や医療についての研究を行っている、産労総合研究所が2020年7月に発表した「2020年度 決定初任給調査の結果」によると、85.6%の企業が新入社員にボーナスを支給していることが明らかになっています。
そのうちの64.5%が、夏季ボーナスを通常のボーナスよりも少額の「寸志」という形で支払っています。夏の時点では新入社員はまだ仕事を始めて間もないため、夏のボーナス査定のための実績が少ないからです。
新入社員のボーナス平均支給額は?
また、同調査によると、新入社員の夏季ボーナス平均支給額は、大学卒が96,735円、高校卒が74,307円とであることがわかりました。分布で見ると、支給金額が5万円から10万円が最も多いという結果になりました。
多くの新入社員は、冬から本格的なボーナスを支給されることになります。厚生労働省が2020年2月に発表した「毎月勤労統計調査 令和2年2月分結果速報」によると、冬のボーナスは、月給の1.02倍程度が支給されていることが明らかになりました。
先ほどの「2020年度 決定初任給調査の結果」では、新入社員の初任給について大卒は209,014円、高卒は169,687円であることを公表しています。この結果から新入社員の冬のボーナス平均支給額は、大卒で約213,194円、高卒で約173,080円であることが推測されます。
ボーナスを支給しなかったらどうなるの?
不景気を理由に人件費を削減したい企業も多いのではないでしょうか。新入社員を含め、社員へのボーナスを支給しないことを決めた場合、企業にどのような影響があるのでしょうか。
結論から言うと、人件費は削減できるものの、離職率があがる可能性は高くなります。ボーナスは年収の少なくない部分を占めているため、ボーナス支給額が下がると、仕事のモチベーションが低下する人が多いからです。
総合人材サービスを展開しているアデコ株式会社が、2018年に行った「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」によると、入社後3年以内に離職した社員の33%が、賃金や福利厚生に不満を持って離職していることが明らかになっています。
そのため、ボーナスを支払わない場合は、基本給の引き上げや、福利厚生の充実などを行い、社員が納得して働けるような賃金形態を構築する必要があります。
まとめ
企業が社員にボーナスを支払うことは「義務」ではありません。ボーナスは通常半年間の実績を元に算定されます。
そのため、入社後まだ実績の少ない新入社員に夏のボーナスは必ずしも支給しなければならないという訳ではありません。査定に基づきボーナスが正式に支払われる多くは冬のボーナスから、という企業も多いようです。
しかしながらボーナスは社員のモチベーション向上につながるため、少額だとしても支給することをおすすめします。支給しない場合は、基本給の引き上げや福利厚生の充実などの工夫が必要です。
(画像はいらすとやより)