従業員のメンタルケアを行う職場カウンセラーについてご紹介
仕事をするうえで、誰もが一度はストレスを感じたことがあると思います。
さらに最近では社会情勢の急激な変化にともない、在宅勤務や時短営業、休業など業務形態も目まぐるしく変化しました。生活様式が大きく変わったことで、メンタルヘルスに不調をきたす従業員は少なくありません。
今回はこの慣れない状況下で、不安を抱える従業員のメンタルヘルス対策としてニーズが高まる「職場カウンセラー」をご紹介します。
職場カウンセラーとは?
職場カウンセラーは、従業員を対象にメンタルヘルスケアを行うカウンセラーです。
職場での人間関係や職場環境など、従業員が抱える様々な悩みや不安に対しカウンセリングを行い、サポートや改善を行います。
職場カウンセラーの種類
職場カウンセラーは、その内容や資格などで名称が分けられています。それぞれを紹介していきます。
・産業カウンセラー
産業カウンセラーは、専門の知識を有するカウンセラーが、心理学的技法を用いて従業員のメンタルヘルスケアを行いサポートします。従業員の悩みに耳を傾けることに重心を置き、会話を先導しない話の歩調を合わせた心理療法を行います。ときには、偏った思考を持つ従業員に対して、多方面から見た考え方をしてみてはと掲示することもあります。
職場カウンセラーと混同しがちですが、「産業カウンセラー」は資格名であり、職場カウンセラーや企業カウンセラーは職業名です。
・企業内カウンセラー
企業カウンセラーは、経済状況や職場環境の変化など、労働安全衛生分野における従業員のメンタルヘルスケアや、メンタルヘルス不調からの職場復帰をサポートします。
厚生労働省が策定した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では以下の4つのケアが重要とされています。
1.セルフケア(自身で行うケア)
2.ラインケア(管理者が行うケア)
3.内部産業保健スタッフなどによるケア
4.外部の心理専門家など事業場外資源によるケア
このうち企業カウンセラーは、3.の内部産業保健スタッフや、4.の外部の心理専門家などのサポートを行います。大企業では企業カウンセラーとして常時雇用されたり、中小企業では契約を交わし、必要なときにカウンセリングを行ったりします。
職務内容は、従業員のメンタルヘルスケアにおいて、産業医や心理学専門家と連携したケアを行えるように企業の内部にまで参画します。また、4つのケアを効果的に継続させることで、労働環境の改善、従業員のメンタルヘルスケア、職場復帰支援を行います。
産業カウンセラーとよく似ていますが、産業カウンセラーは民間資格を持っているのに対し、企業内カウンセラーは産業精神保健で活動する心理カウンセラーの総称です。
資格が必要な職場カウンセラー
・産業カウンセラー
産業カウンセラーになるためには、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定した資格が必要になります。
産業カウンセラーの資格試験には、以下のいずれかの条件が必要です。
・協会が行う養成講座を受講した人
・4年制大学学部において心理学慣例の学部を卒業し、必要な科目を取得した人
・大学院研究科において心理学慣例の学部を修了し、社会人として週3日以上の3年以上の職業経験があり、必要な科目を取得した人
・臨床心理士
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。
受験資格には、あらかじめ臨床心理士養成のための大学院や専門職大学院を卒業しているか、医師免許を取得後、心理臨床を2年以上経験している必要があります。
・精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神保健福祉士法において精神障がいを持つ人に対する相談や援助を行う国家資格を必要とします。
精神保健福祉士の受験資格は、以下の4つのうちいずれかを満たしている必要があります。
・4年制の大学で指定科目を修了している人
・2年制または3年制の短期大学において指定科目を修了し、必要な実務経験があること
・精神保健福祉士短期養成施設を修了した人
・精神保健福祉士一般養成施設を修了している人
・EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)
働く人のメンタルヘルスケアを行う従業員支援プログラムであるEAPと、メンタルヘルス分野における総合カウンセラーの資格で、2013年に誕生した新しい資格です。メンタルヘルスケアの分野における総合的なスキルを必要とします。
資格取得には、EMCA認定カリキュラムを受講し修了証を取得後、資格試験を受けます。
・メンタルヘルスマネジメント®検定
メンタルヘルスマネジメント®検定は、大阪商工会議所が実施する産業精神保健に関する検定であり、商工会議所法第9条により公的資格とされます。
学歴や年齢、国籍を問わず誰でも受験することができ、産業カウンセラー資格取得への第一歩として、職場の管理者や使用者が取得する傾向が多いです。
コースは3種類あり、I種(人事労務管理者対象)、II種(管理監督者対象)、III種(一般社員対象)に分けられています。
まとめ
職場における従業員の健康管理やメンタルヘルスケアを行うことは、経営者や管理者の重要な役割の1つです。
昨今はオンラインでのメンタルヘルスケアも導入されています。
オンラインでのメンタルヘルスケアでは、職場の人にメンタルヘルスケアを受けていることが知られにくく、不調を抱えている従業員にとってはカウンセリングに対する負担が軽くなります。また、自宅にいながらカウンセリングを行うことができるので、感染に対する不安もありません。
昨今の厳しい状況だからこそ、従業員は職場カウンセラーの専門的なカウンセリングを必要としています。従業員がメンタル不調を訴える前に、職場カウンセラーによるカウンセリングを導入してみましょう。
(画像は写真ACより)