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人事・労務担当者として抑えておきたい法律とは?

問題解決には、法律の知識が必須

会社で人事・労務を担当していると、さまざまな問題が舞い込んできますが、問題の内容が法律に違反しているかどうかを判断するためには、法律の知識が必須となります。

人事・労務担当者としてはどのような法律を抑えておけば良いのでしょうか。トラブルの解決において必須となる法律を紹介します。

労働法の基本を成す「労働三法」

人事・労務担当者が抑えておきたい法律としては「労働三法」があげられます。労働三法とは、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法を指します。

労働基準法とは、長時間労働や強制労働などの不法な労働から労働者を守ること、そして、労働者が人間らしい生活を送ることを目的として、労働条件に対する最低基準を定めた法律のことです。

労働基準法で定められている主な内容としては、賃金、労働時間、休日に関することがあげられます。

労働組合法とは、労働者にとって働きやすい環境を目指すため、労働者と使用者が対等の立場で交渉するための「労働組合」を組織することについて定めた法律です。

労働関係調整法とは、労働争議の発生を防ぐために定められた法律を指します。

労働争議とは、労働者側が主体となって引き起こす「ストライキ」や、ストライキに対抗する形で使用者側が事務所や工場を閉鎖し、労働者側に圧力をかける「ロックアウト」がありますが、この法律は、労働争議が発生することによる社会生活への影響を防ぐことを目的としています。

そのほか、抑えておきたい労働法

そのほか、人事・労務担当者が抑えておきたい労働法としては、以下の法律があげられます。

労働環境の改善に関する法律
・労働契約法(労働契約に関する基本的な内容)
・労働安全衛生法(労働者の安全と健康を確保)
・最低賃金法(賃金の最低額を保証)
・育児・介護休業法(育児休業や介護休業に関する内容)

労働者の雇用に関する法律
・労働者派遣法(派遣労働者の雇用安定、福祉増進を図る)
・パートタイム労働法(パートタイム労働者の待遇改善)
・障害者雇用促進法(障害者の雇用、就労を促進)
・高年齢者雇用安定法(高年齢者の雇用確保、再就職の推進)
・男女雇用機会均等法(雇用における男女の均等な待遇確保)

労働保険に関する法律
・雇用保険法(失業保険の給付に関する内容)
・労災保険法(業務上の事故における保険給付に関する内容)

労働法に関する事件の例と判例について

人事・労務の業務を担当している場合、労務関連のトラブルに対処しなければならない場合がありますが、単に法律を理解していたとしても、トラブルに対して適切な対応ができない場合があります。

適切にトラブルに対応するためにも、労働法に関する事件の例とその判例を紹介します。

月200時間を超える時間外労働が原因でうつ病になり、自殺した男性(当時24)の遺族が、会社や国、労働組合に賠償を求めた裁判の判決が20日、東京地裁であり、小野洋一裁判長は会社側に約2274万円の支払いを命じた。国や労組の責任は認めなかった。

 遺族が会見して明らかにした。亡くなった男性は新興プランテック(横浜市)に勤務し、プラント建設の現場監督をしていた2008年11月に自殺。10年9月に労災認定された。会社は月150時間、特別な場合には200時間まで時間外労働させられる協定を、労組と結んでいた。

 判決は、うつ病になった男性の仕事量を調整しなかったとして、会社の安全配慮義務違反を認めた。協定を認めた国や労組の責任は、「協定が違法であるとはいえない」と退けた。
(引用:朝日新聞デジタル 2013年12月20日付)

上記の事例では、長時間労働が問題となっています。裁判においては、会社に対しては賠償命令が下されたものの、長時間労働の協定を締結した労働組合と、法令で労働時間に上限を設定していなかった国は責任を負わない形となりました。

なお、2019年4月からは、大企業において残業時間の上限は原則月45時間、年360時間と定められたほか、特別な事情があっても、上限は月100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内に定められています。

2020年4月以降は中小企業においても導入されます。

人事・労務の担当をしていると、問題の種類が幅広い分野にわたるため、さまざまな法律の知識が必要となりますが、事前に法律の知識を得ることは困難といえるでしょう。

問題に直面した場合は、過去に起きた事件や判例を参考にすることが、結果的に問題解決への近道となります。

(画像は写真ACより)

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